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国内では自民党総裁選が真盛りで、安倍元総理が進めてきたアベノミクスをどの候補者が継承するのかという問題が話題になっています。

一方、野党の立憲民主党はアベノミクスの検証をはじめており、果たして意味のある政策であったのかどうかがここから非常に大きなテーマになりそうな状況です。

そんな中で日銀では2023年に任期が切れる黒田総裁の後継者とみられる雨宮正佳副総裁が中心となって、巻き戻しの準備を始めているといった記事がロイターの英語版にも登場し話題になっています。

アベノミクスの根幹は日銀の政策そのもの

アベノミクスというのは2012年12月の第2次安倍政権発足から始まった政策のことを言うもので、最初は本邦のブロガーが使い始め、日経新聞が目ざとくみつけて記事に利用しはじまたのを政権としてもいち早く活用し始めたのが起点となっています。

とにかく首相の名前が文字ってあり記号性が高いことから政策自体の厳密な定義も不明確なまま8年近く名称だけが独り歩きすることになり、新型コロナの感染でいつのまにか話題にならないまま政権交代で消滅しかかっているのが実情です。

当初のアベノミクスは大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略といった3本の矢から構成されていましたが、実際に始まってみますと機動的な財政政策と民間投資を喚起する成長戦略は名ばかりのものになってしまいいつの間にか立ち消えとなり、気がつけば結局日銀の国債購入と日本株のETFの大量購入だけが延々と継続され実態経済とは関係なく日経平均は3万円台を回復、TOPIXもようやく史上最高値まで回復することとなりました。

確かに株価だけ見ていると日本経済は大きく回復したような気になりますが経済成長はさほどではなく、新型コロナで大きなダメージを受けてからの回復も先進主要国の中ではもっとも遅いという厳しい状況に追い込まれています。

また実質成長率2%達成を大義名分とし、ほぼ財政ファイナンスの形で国がどんどん使い込む財政支出を支えるやり方は8年近くたっても当初の物価上昇率すら達成されないまま足もとではデフレに逆戻りしそうな状況に陥っています。

中央銀行では制御できないとされてきた長期金利の制御にも成功しFRBからも一目置かれる存在になったことは間違いありませんが、実は見えないところでとてつもないリスクを抱え込むことになっています。

既に日銀保有のJGBは500兆円超まで膨れあがり発行済み国債残高の半分近くに達しており、異常な状況に陥っていますし国内株ETFの保有残高も51兆円ということでこちらも今の政策を継続することができないところまで来てしまっているのが実情です。

ポスト黒田の巻き戻しがどう行われるのかが大きな注目点

現状の市場ではすっかり米国FRBのテーパリング開始時期が注目の的になっておりこの情報だけで為替はドル円が上下動する状況が続いていますが、実は日銀による過去8年に及ぶ緩和政策の巻き戻しはそれに匹敵するぐらい大きな材料になりそうで、一体どのような出口を探していくことになるのかに大きな関心が集まりそうです。

保有株式ETFについては90年代後半の銀行の不良債権処理と同じような形で別の組織にETFを移行させて長期間で少しずつ売却処理をしていくことになるのでしょうが、大量買い付けした国債のほうは簡単に売ることはできないはずで、果たして出口が見つかるのかどうかが大きなポイントになりそうです。

黒田総裁の任期は2023年初頭となりますが、実は政権が変わったり立憲民主党による政権に総選挙で交代が起きた場合には前倒しで辞任するといった不測の事態も起こりそうで、この黒田バズーカの巻き戻しは市場が想定しているほど先の話ではなくなることも考えておく必要がありそうです。

市場は日銀の緩和政策がまるで恒常的なもののように考えてしまっていますが、これが終焉を迎えることになれば大きな巻き戻しに見舞われることも想定しなくてななりません。