25日は米国の感謝祭、翌日もブラックフライデーということで相場は株も為替もほどんど動かないかのように見えた一週間でしたが、週末の26日本邦市場が始まる少し前の午前8時すぎに南アフリカで過去に類を見ない強力な変位株が確認されたという報道が飛び出したことから、株も為替も売り一色の相場になってしまいました。

2020年3月に新型コロナの感染が爆発的状況になった際に大暴落を起こしてからはコロナ関連の報道で大きな下げはありませんでしたが、今回は感謝祭シーズンでほとんど市場参加者がいない中で起きた暴落であることからどの相場もオーバーシュート気味に下落する展開となり、夜のNYタイムでもNYダウが一時1000ドル以上下落するといった酷く過剰な反応となってしまいました。

週明けの東京市場では前週のNY市場を受けて株価がさらに下がりそうですが、果たして為替が戻りを試すことができるかどうかに注目が集ります。

ドル円は今年115.500円が最高値になる可能性も

ドル円1時間足

11月第四週勤労感謝の日の休日のアジア時間に意外とあっさり115円を抜けたドル円はさらに上値を試すことになるのか注目されましたが、この暴落の余波ですでに113円すれすれまで下落する動きとなり、11月最終週にどこまで戻りを試すことができるかが大きな焦点になりつつあります。

今回の上昇トレンドは少なくとも10月初旬から始まっていますので日柄的には12月の第二週位までしか続かなさそうな雰囲気がありますが、この暴落で水準をかなり下げることになったことから今年の最高値は115.500円で打ち止めになる可能性がありそうです。

ただ、年末に向けては本邦勢のドル不足が予想されており、この水準では東京タイムの買いが入りそうなのでテクニカル的にはまだ下を予測する向きもいるようですが、それほど下押しはないのではないかと思われます。

ただ、上昇も一気に118円レベルまで買いあがる可能性はかなり少なく、一定のレンジの中で推移する可能性が高まります。

ユーロドルはリスクオフなのにまさかの暴騰に

ユーロドル1時間足

一方週後半になって極めて不思議な動きとなったのがユーロドルです。

ユーロドルはとにかく週前半弱含み1.12すら割れるところまで下げましたが、変位株の騒動で一転してリスクオフなのに買いあがるという動きを見せ、NYタイムの終了時間にはとうとう1.13300を超えるレベルまで買いあがる状況となりました。

これも相場の基本的な動きとしては相当珍しく、なぜユーロがここまで買い戻されたのかはよくわかっていません。

一般的に12月はユーロドルが上昇しやすいアノマリーはありますが、果たして週明け以降にこれが継続するのか、一転して売りで戻ってくるのかに注目していきたいところです。

変位株起因だが流動性枯渇の中でアルゴリズムが招いた暴落と言う見方も

長年相場を見ているものにとっては今回の大暴落はかなりクビを傾げるものがあります。

確かに変位株確認が下落のきっかけにはなっていますが感謝祭でほとんど人がおらず、流動性が極度に枯渇した相場でリスクオフが強まったことから過剰に相場に売りが出た可能性は高く、週明け感謝祭からもどった米国のトレーダーたちがこの動きをさらに加速させるのか買い戻すのかにも大きな関心が集まっています。

2020年3月の暴落では米国はロビンフッダーに代表される個人投資家が絶好の押し目とばかりに株を買って暴落前よりも相場が高くなるといったことが続き、ドル需要からドル円が暴騰したことも記憶に新しいところです。

今回同じような動きが果たして出るのかが週明け相場の大きなポイントになりそうです。

いずれにしても相場にかかわっていた個人投資家は相当痛んでしまったはずですぐには戻りを試すような動きにはならないかもしれませんが、時期的にこのままずるずる下げを加速するとは想定しにくいのもまた事実で、ここからはまたむずかしい相場が続きそうです。