コロナ禍の中、とうとう2021年も最後の四半期となりました。

投機筋も年末までの決算やファンドマネージャーの今季実績を確定させるために力を入れてくるのがこの時期の特徴で、10月の実質第一週となる週明けからの相場にはこれまで以上に様々な変動要因が持ち込まれることになりそうです。

中国恒大集団のデフォルト懸念は状況が改善していないのに妙にリスクが後退しているように見えますが、国慶節明けの週明け新たな動きが出ることも十分にあり得るので、引き続き注意が必要です。

足元でさらに深刻な状況になっているのが同じ中国の電力不足で、こちらも当初は習近平の策略からそうした危機的状況が作為的に作り出されているかのように見えましたが、SDGsの無理な計画に加え豪州からの石炭の輸入が本格的に滞っていることから冬にかけてさらに電力不足が深刻になる可能性があり、これだけで世界の株価を押し下げるリスクが高まっています。

9月に天安門広場にブラックスワンが降り立って話題になりましたが、中国リスクの直近の問題はこれが本命になる可能性があり相場へのリニアな影響が気になるところです。

また米国の債務上限問題は上下両院とも民主党がマジョリティなのでプロセス上揉めることがあっても結果的には上限引き上げで決着がつくとの楽観的な見方が広がっていますが、民主党は共和党もその流れに引き込もうとしており、民主党内の左派勢力は必ずしも政権との親和性が高いわけでもありません。

解決が遅れて米債格付けが下落するようなことになればさらに売込まれて金利が上昇しドルが大きく上値を試すような事態も考えられ、こちらも要注意の材料となります。

さらに市場がすっかり織り込みはじている11月決定12月開始のFRBのテーパリングについては、このコラムでも既にご紹介していますとおり、パウエル議長が民主党左派からその政策を巡って袋叩きにあっており、このままでは再任が難しいことからブレーナード新議長体制で仕切り直しになる可能性が高まり始めました。

インフレは一時的といったパウエル議長の言説は自らの議会証言で完全に崩れ、テーパリングと利上げは別物といったトリッキーな発言も市場には響かなくなり、果たして市場の政策期待がそのまま履行されるのかどうかにも関心が集まりそうです。

週明け相場はこうしたかなり多くの材料が絡み合いながら為替相場を構成していくことが予想されるため、その強弱感で動きが変化することも予め視野に入れておく必要がありそうです。

ドル円は短期間に上昇しすぎもさらに継続の可能性を残す状況

9月最終週、110.69円で寄り付いた後、早々に週間安値110.53円まで下落したドル円でしたが、その後は米債金利が投機筋の仕掛け売買の影響もあって急激に上昇したことからリニアに反応し週後半にかけて、年初来高値112.07円まで急伸する動きとなりました。

ただその上のレジスタンスラインを突破できないまま月末に差し掛かり、結果10月1日には相当値を戻す展開になって一時111円をも割り込む展開となりました。

しかし米株が大きく持ち直したこともあり週足ベースでは長めの売上髭のある陽線引けとなっています。

週明け相場では再度上値を試しそうな雰囲気も残されますが、一旦さらに下押しする可能性もあるだけにまずは週初の動きを確認するところから取引を始めましょう。

ドル円4時間足推移

ユーロドルは債券金利次第でさらに下押しか

ユーロドル相場は先月3日に約1ヵ月ぶりに高値1.1910超を記録しましたが、反落に転じると今週後半にかけて約1年2ヵ月ぶり安値となる1.1562レベルまで急落しました。

この間、一目均衡表転換線や基準線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も出ていますのでテクニカルが正しければここから早い段階で1.15レベルまで下押しすることを考える必要がありそうです。

ユーロドル4時間足推移

相場全体としてはドルは米債金利と相当な相関性をもって動いているので、投機筋がここから年末に向けてさらに米債を売り浴びせる動きになった場合には想像を超えるレベルでドル高が出る可能性に注意が必要です。

いずれにしても市場参加者は今年の残り時間の中で絶好の稼ぎ場として相場を見ており、想定外の仕掛け売買も出やすくなるので十分に注意を怠らないようにしながらトレードしていくことが肝要になる一週間です。