年明け第二週目の為替相場は、12日のNYタイムに発表された12月のCPI以降ドル円が大きく崩れることとなり様々な憶測を呼ぶこととなったのはご案内のとおりですが、14日の東京タイムでは日銀がインフレ目標達成前の利上げが可能なのかという議論と情報筋の話として報じられたことから日経平均は厳しく売り込まれ、ドル円も113円台にまで突っ込む動きとなりました。

キング牧師の記念日が月曜にあるということで株も為替も一応はそれなりの買戻しとなって週の取引を終えていますが、今週は米国の経済指標の発表もなくさらにFOMCを控えてブラックアウト期間となることから、FRBの要人の発言も出てこないので18日の日銀政策決定会合の結果発表とその後の黒田総裁の記者会見での発言に注目が集まることになりそうです。

即時の利上げはないものの先行きにどういう見通しがでるかが大きなポイントに

14日に日銀の利上げ関連の記事を出したのはロイターだけですが、日銀から具体的に金利見直しの工程などが示唆された場合には株もドル円もさらに大幅に下落する危険性がありそうです。

ただ黒田総裁は行けるところまでは緩和措置を継続する意向のようで、利上げは考えていないという発言になった場合には逆にドル円は大きく買い戻される可能性もあり、18日の東京タイムから同日午後3時半の記者会見あたりまでは相当な注意が必要です。

現実に日銀は利上げをできるのか?

Photo AFP

世界的にインフレが加速しようとしている中で日本だけがデフレを続けられる可能性は低いです。

とくにエネルギー関連や食料、原材料輸入では間違いなくコストが上昇することになるので、少なからずコストプッシュインフレが襲ってくることになるものと思われます。

昨年12月の黒田総裁の会見では日本の物価上昇率は一時的な要因やエネルギーを除いてもプラス0.5%程度で、23年度でも1%程度の伸びに留まるとして本邦にインフレは一切関係なしということを改めて強調していました。

その一方で昨年12月10日に日銀が発表した11月の企業物価指数(CGPI)の速報値は前年比プラス9.0%と過去40年来で最高の伸び率となっているほか、輸入物価指数は円ベースで前年比プラス44.3%と凄まじい上昇率を記録しており、海外からの影響で国内でもインフレが進行するのは避けられないところまで来ています。

インフレが到来するなら利上げをせざるを得ないという見通しは市場に広く広がっていますが、銀行がインフレ対策で利上げをせざるを得なくなった場合には1000兆円も発行してしまった国債の利払いに多大な資金を当てなくてはいけなくなり、すでに財政難に見舞われつつある本邦はさらに財政的に厳しい国になってしまいます。

財務省の試算では今後1%金利が上昇すると翌年の国債費は1兆円増加、2年後は2兆円、3年後は3.8兆円増加する予想です。

本邦の国債は60年が返済期限ですが、その中には当然短期債、中期債も混ざっているので平均すれば返済期限は9年前後とされています。

ここから金利が上昇局面に突入すれば国が国債の借り換えをするたびに国債金利は上昇し、今年度の国債費23.4兆円から考えても今後国家予算に占める国債費の割合は爆発的に増えることが予想されるだけに、この政策決定はかなりクリティカルなものになるのは間違いなさそうです。

国債金利が上昇すれば債券価格は下落、日銀保有の債券も大量の含み損が出ることになり、インフレで株価が下落をはじめれば大量保有しているETFにも含み損が出る可能性があり、債務超過に陥りかねません。

外人投資家が日本株を売り浴びせる場合には連動してドル円も強力に売却してくるので、米国の利上げでドル円も上昇というシナリオは厳しく否定されることもあり、今週はこのイベントを相場がどう乗り切るのか非常に大きな関心事となりそうです。