今年も米国、欧州がサマータイム入りすることで、FX市場には微妙な変化が現れることになります。

米国、カナダについては3月13日日曜日の午前2時に時計が1時間進められてサマータイムが始まっていますが、欧州は3月27日日曜日の午前1時にサマータイムスタートということで米欧両国の時間が1時間早くなりました。

EUでは2019年3月の欧州議会において、2021年にサマータイム廃止案が可決されていて本来はサマータイムにならない可能性もありましたが、今年については例年通り実施されました。

南半球のオーストラリアやニュージーランドは4月3日から冬時間で1時間遅くなります。

この米国と欧州のサマータイム入り、現実にはたった1時間早くなるだけの話ですが、FX市場ではかなり大きな影響が出る可能性があるため、十分に注意していく必要があります。

欧州勢は東京タイム終了直後から登場して相場をかく乱


上の表がロンドン、NY、東京の各市場の主要稼働時間となります。

冬時間であれば東京タイム終了後から2時間を経てロンドン勢が登場していましたが、サマータイムとなると欧州勢の早期参入組は東京タイムの午後2時過ぎぐらいから市場に参加しはじめ、午後3時を過ぎると本格的に動き始めることが確認されています。

ロンドン勢は東京タイムの相場の動きをよく観察しており、たとえばドル円で言うと相当ショートが溜まっていると見ればさらに大きく買い上げて、市場参加者の損切をたっぷり付けたうえで逆に売りたたく、といった取引をして来ます。

特に東京タイムで本邦勢が利益を拡大するような相場の動きになった場合には、それをそのまま受け継いで上げ相場を継続するといったことは全くと言っていいほどしないのが大きな特徴で、サマータイムで登場時間が早まることで午後4時を待たずにそうした動きを顕在化させてくることになる点には相当注意が必要となります。

冬時間であれば一拍おいてこうした動きが加速しますが、夏時間では本邦勢の退場とともにすぐに逆の動きが出てくる点が大きな注目点です。

21時すぎがロンドン勢からNY勢へとバトンタッチされる時間に

ロンドン勢とNY勢というのは取引時間がかなりオーバーラップしていますが、実はロンドン勢はNY勢が本格参入する前にひとしきり取引をして一旦撤退し、相場を譲るようにしているのが実情です。

冬時間だと日本時間の22時頃までは活発に活動していた姿が見られますが、夏時間になると21時を境にして相場はロンドン勢からNY勢にバトンタッチされます。

NY勢はロンドン勢の売買の動きとはさらに反対の売買へとシフトすることももちろんありますが、NY勢はロンドン勢の方向感をそのまま継いでいくことも多く、ロンドンとNYでは相当市場参加者の相場への参入姿勢が異なることがわかります。

さらに東京タイムの仲値にあたるロンドンフィキシングは夏時間では24時になるので、大きな取引はここまでに終了することが多くなるのも夏時間の特徴です。

とくに金曜日などは24時以降すっかり相場が動かなくなるといったこともあるので、この時間帯に迂闊に取引するとポジションを取り残されることにもなりかねず、やはり注意が必要となるでしょう。

こうした夏時間に伴う市場参加者の取引の動きの変化というのは実に微細な話に聞こえるかもしれませんが、実は本邦の個人投資家にとっては相当影響を与える話になるので、事前段階から十分に意識してトレードすることが重要となります。

全体的に見るとロンドン勢は取引額が大きく、特別な動きをしてくることが多くなるので、東京タイム終了直後からはしっかり緊張感をもって対応することが肝要です。

こうした状況をあらかじめ理解していれば妙なかく乱の動きに巻き込まれることもなくなるので、ぜひ事前準備をお勧めします。