月末、年度末が近づいた3月第四週の相場はドル円を中心に凄まじい展開となりました。
本邦が春分の日でお休みだった21日も、前週からの流れを引き継いでドル円は大きく上昇する展開となりました。
とくにこの流れを加速させることになったのは、7月で退任となる片岡日銀審議委員の「円安は日本経済全般にプラスに働く、物価上昇率が2%を持続的に達成する力強さに欠けるため、日銀が金融引き締めに転じる見通しはたたない」といった発言で、25日には日銀黒田総裁も国会で同様の発言をし、円安をけん制する素振りをまったく見せませんでした。
これを受けてドル円は120円を突破し、ついに112.500円レベルに接近するまでの上昇を果たすことになりました。
連日1円ペースで上昇する相場というのもドル円では相当珍しいですが、この動きは週明けもまだまだ終わらなさそうな状況にあり、どこまでついて行くのか非常に大きなポイントになるでしょう。
すでにドル円はボリンジャーバンドの2σをバンドウォークで上昇しており、月初からは7円以上上昇してテクニカル的に良いレベルまで上昇した感がありますが、これだけでは終わらなさそうな状況になりつつあり、週明けから4月第二週まで日柄的に継続する可能性も高まっています。
例年4月後半からは米債金利が下落に転じることが多くなりますが、FRBは今年のFOMCで毎回利上げを示唆しており、状況次第では一回に0.5%の利上げさえ検討する可能性となっているので、日米の金利差は新年度以降も明白な違いとなって現れることが予想され、ドル円はさらに予想を超えて上昇を継続することが危惧されます。
ドル円はもはやテクニカル分析では判断できない日銀試しの投機筋による猛烈な円安シフトへ
日銀が上述のように円安を公認していることから投機筋はそれがどこまで許容されるのかを試す動きになっており、足もとでは例年にないぐらいドル円相場に投機筋が押し寄せるといった異例の展開が続いています。
円売りをしなくてはならない輸入企業もドル円の買いに奔走しているらしく、年度末のレパトリが終了した週明け相場は投機筋、実需入り乱れてドル円の買いを続けることが予想されます。
本来ドル円の1トレンドはだいたい7円程度なので現状の円安はいい線まで上げてきたことになりますが、下手をすればもう7円続伸というまさかの事態もあり、レベル感からの迂闊な売りは十分に注意しなくてはなりません。
黒田総裁は就任後125.860円に到達したときに一度だけけん制発言を行っていて、投機筋としては当然それを試しに行くと思われ、オーバーシュートすれば130円にかなり接近することも覚悟しなくてはなりません。
資源国通貨を中心にクロス円も円売り加速で暴騰の状態
上昇の激しさを増しているのはドル円ばかりではなくクロス円も同様で、ロシアに対する制裁から資源の供給が途絶えた部分を代替国から輸入する動きが加速しており、豪ドル円やカナダドル円などは大幅上昇を示現しはじめています。
どちらのチャートも非常に似た動きをしており、ボリンジャーバンドのプラス2σ付近をバンドウォークで駆け上がっているので、こちらはドル円よりも長くこの動きを継続させる可能性があり注目されています。
豪ドル円に関しては、下手をすれば100円に届くのではないかといった楽観論もあり、十分に注意していきたい時間帯となりそうです。
全く振るわないのはユーロドル
こうした通貨ペアと比較しても振るわないのがユーロドルで、ロシアのウクライナ侵攻以来悪いニュースが出るたびにユーロは下落に見舞われてきました。
直近では市場もその動きにだいぶ飽きがきているようで、停戦の可能性の朗報があればある程度戻す動きも見られるようになっていますが、ECBとFRBの政策のコントラストを考えるとやはりユーロは売られやすく、週明けも下方向に注意すべき一週間となりそうです。
ウクライナ情勢に対する関心が低くなればなるほど米欧の金融政策の差の部分がさらに注目されることになり、1.08方向へ下押しする可能性を考えておきたいところです。
全般的に言えることですが、足もとの相場状況はドルが強いというよりも円が一方的に弱くなっており、ドル円、クロス円ほぼすべてで円売りが展開されている点が非常に気になります。
週明けは年度末で本来実需の観点から特別な動きも出やすいのが通例ですが、今年度末については円安が相場に広がる可能性が高く、しかも新年度にその動きが継続することを視野に入れて取引していく必要がありそうです。