3月の年度末相場は急激な円安が市場を巻き込んで、日銀の執拗な債券金利抑制のための無制限指値オペによる介入から日米の政策の違いが明確になり、過去10年では海外投機筋やアルゴリズムも市場に大量参入したことから、凄まじい円安を示現する相場となりました。

その一方で年度末ということもあり、実需の需給も活発化し125円台まで持ち上がったドル円は、その後121円初頭レベルまで下がって122円台で月の取引を終えています。

月が明けた4月1日も大きな動きにはならず、122円台で推移して週明けを待つ状況となっています。

早くも発表された3月雇用統計だが反応は限定的

1日金曜日に発表された米国の雇用統計は失業率は3.6%と、2月3.8%から予想以上に低下し、パンデミックにより経済が封鎖した20年2月来で最低水準を回復することとなりました。

非農業部門雇用者数は前月比+43.1万人と伸びは2月から予想以上に減少したものの、2月分は+67.8万人から+75万人へ上方修正され、さらに1月分は+48.1万人から+50.4万人へ上方修正されたことから若干軟調な印象を与えたものの誤差範囲にとどまっており、引き続きFRBがインフレ対応で米金融当局が積極的な利上げを進めるとの見方が強まっています。

これを受けて、4月第二週の相場も引き続きドル円が上昇する展開になるのかどうかに市場の関心が集まりそうです。

ドル円は引き続き円安継続か

ドル円は先月末異常とも思えるほど投機筋が向きになって買い上げた結果、黒田シーリングである125円台に大手をかける上昇となりました。

しかし年度末の実需の需給や、投機筋ならではのリカクもでて結構下げる展開となり、121円台から見ればほぼ行って来いのような相場状況を示しています。

ドル円4時間足

上のチャートで確認できますが今回の月末大幅上昇の起点を121円台初頭と見ると、最高に上昇した125.100円との中間地点が123.200円となるので、週明け相場がこれをサイド突破して上方向に動くようであれば、投機筋主体で再度黒田総裁がけん制発言をした125.860円レベルを超えるような動きを試すことが予想されます。

ファンダメンタルズ的に言うと、FRBの今年の延々利上げ志向と日銀の債券金利抑制YCC厳格コントロールは明確な政策コントラストとなり、さらにその差が明確になっていこうとしているのでドル円の円買いを助長する材料は何もなく、一気に進まなくても中長期的にドル円が上昇することは間違いないでしょう。

円安でさらなる上昇が期待される資源国通貨系のクロス円

資源国通貨のクロス円は円安を受けてそれぞれ上昇軌道にありますが、月末ドル円が一旦崩れたことに伴って上昇速度をゆるめており、こちらも週明け上昇が再開するのか、ある程度調整に入るのかが注目されます。

豪ドル円とともにNZドル円も似たような動きで、ポンド円、カナダドル円の動きにも注目が集まるところです。

ロシアとウクライナの戦争がどのタイミングで停戦になるか次第で動きが変わる可能性はありますが、ロシアからの資源が急に元通りの輸入になるまでにはまだ時間がかかることからその代替資源国の通貨は引き続き堅調に推移しそうで、ドル円とともにその動きを注視していきたい時間帯です。

豪ドル円4時間足

4月はユーロが上昇しやすいがウクライナ戦争継続中は上昇は限定的か

この間主要通貨ペアの中でもっともはっきりしない動きだったのがユーロドルです。

ウクライナ戦争に停戦の可能性が高まったという報道が出るたびに買い戻されはしましたが、結局米債金利が上昇してドルが連動するかのように上昇するとユーロは下落となり、1日以降も徐々にユーロ安が進んでいます。

ユーロドルは4月は強含むのがシーズナルサイクルとなりますが、今年はウクライナの件が解決しておらず、さらにFRBが今後開催されるFOMCで毎回利上げを考えていることが明確になっているので、さらに弱含むことも視野に入れたトレードが必要になりそうです。

ここから1.0000を下抜けるほど強い下落は期待できませんが、ある程度の継続的下押しは覚悟すべき状況となるでしょう。

ユーロドル1時間足

全体として先週の相場は想像以上に荒れた展開となったことから、結構やられてしまった個人投資家も多かったようです。

4月1日の相場は若干荒れ果てた雰囲気をかもすこととなっていますが、週明けからは元気を取り戻すことになるのか、また大挙してドル円に参入してきた外人の投機筋が落ち着いた動きに転換するのか、そのままドル円の買上げを継続するのかが最大のポイントになりそうです。

過去10年で考えても円安視点でドル円相場にここまで市場参加者が大挙して参入するというのは極めて珍しい状況であり、これが続けばさらに相場状況は変化することが予想されるため、ここからも十分に注意して取引していきたいところです。