Photo 産経新聞

自民党の安倍晋三元首相が8日午前、奈良市内で参院選の応援演説をしていた際に、男から襲われ帰らぬ人になりました。
生前、岸田首相にアベノミクスを継続するように猛烈な圧力をかけていたのも安倍元総理でしたが、突然亡くなったことで自民圧勝を参議院選挙でも手にした岸田首相は急激に自由を手にすることができました。
これで首相がさらに政策方針変更をはかるのか、そのまま故人の意思を貫く形でアベノミクスを続けることになるのかが大きな注目点となりはじめています。

骨太の方針では、アベノミクスを続けることを仕方なく入れ込んだように見える岸田首相ですが、果たしてこれからどうなるのかを海外の投機筋も非常に注目していることがうかがわれ、ここから21日の日銀政策決定会合までの7営業日ほどがかなりクリティカルな相場になることも予想されはじめています。

一部の海外投機筋は21日の日銀会合で何等かの政策変更があることを期待

これまで日銀が一切利上げ等の緩和巻き戻し措置を行わないことから、日銀に対して挑戦的に日本国債を売り浴びせ、為替を円安に持ち込もうとする投機筋の動きが見られましたが、すでに発行国際の半数以上を買上げてしまい、ここから無期限でさらに残った国債を買い進めることは事実上不可能で、7月の政策決定会合で日銀がいきなり利上げには踏み切らなくても、なんらかの緩和巻き戻し措置を発表するのではないかというかなり勝手な期待を高めています。
そのため、すでにドル円で円買いを始めている人もいるようで、相場の上昇は単にドル高円安ではなくなりつつあるという変化が示現しはじめています。

ただ、週明け11日の東京タイムでは、黒田日銀総裁が必要があれば躊躇なく追加緩和を実施する旨を口にしたことからドル円は一気に137円中盤まで駆け上がる動きとなり、一部の投機筋の政策引き締め期待とは全く逆の動きをしています。
これには、政策変更を期待してドル円の円買いを行っていた向きも相当慌てたのではないかと思われます。
海外投機筋はここのところ憶測をベースにトレードすることが多く、しかもその憶測は間違って結局失敗に終わっているので、今回もそれに準じた結末に至る可能性は高く、こうした投機筋の損切が強まれば相場は一気に上昇するといった状況を示現することも十分に想定しておきたいところとなります。

岸田首相が方向転換する可能性はかなり低そうな状況

Photo 首相官邸

12日には、米国イエレン財務長官と本邦財務省幹部との会合も開催されますが、11月の中間選挙通過までドル高継続と緩和政策の継続を強く日本に求めてくるであろうことは明らかで、日本政府としても米国のいうことを聞かざるを得ない状況に追い込まれることが予想されます。
となると黒田総裁の直近の発言とも符合することになり、結局のところアベノミクスの根幹を成す緩和政策を変更することはできない可能性が高まります。

しかし、現時点でどうなるかは全くわかっていないため、もし緩和の巻き戻しを示唆するような政策変更がでればドル円は大きく得高へと反転し債券金利はさらに上昇、日経平均は大きく値を下げることになり、米国が望むとおり何も政策変更をしないということになれば、ドル円は140円方向にさらに上昇すること考えられます。

ただ、冷静な視点で見た場合、日銀が足もとでやっている強引な無制限買い付けオペによる金利の強制的な低下措置を永遠に続けることは出来ないので、どこかで必ず政策変更を余儀なくされることだけは間違いなさそうで、それがどのタイミングなのかが非常に起きな問題となってきていることがわかります。

いずれにしてもここから3年は選挙がないため、岸田首相としては多少支持率を下げても緩和継続、円安容認とすることは十分に考えられ、ここから21日までの7営業日あまりは非常に重要な時期を迎えることになります。
政策継続でも変更でも、すでに作られたポジションが損切や巻き戻しにあうと想像以上の下落や上昇に巻き込まれるリスクが高まるので、慎重な取引が求められることになるでしょう。