今年12月の最大のイベントとなった主要国の中央銀行政策決定会合が終わり、いよいよ相場はクリスマス休暇のシーズンに突入することとなります。

何が起きるかわからずに戦々恐々としていた相場は一旦落ち着きを取り戻していますが、これですべての不安が解消したかと言えば決してそんなことはなく、ここからの相場の変容に注意しなくてはならない時間になったようにも見えます。

FOMCはほぼ市場の予想どおり

テーパリングの加速と2022年どれだけの利上げが示唆されるかに注目が集まったFOMCは、事前のパウエル議長の議会証言などから想定されていた内容がそのまま示現することとなり、テーパリングは加速して来年1月から3月までで終了、その後の利上げはドットチャートから年間3回実施される可能性が示唆されました。

利上げ実施でなぜ株が買い戻されることになったのかはわかりませんが、翌日のNYタイムでは3指数ともに一転して下落となり、テーパリングと利上げの影響が少しあることを印象付ける結果となっています。

なにより気になるのは米債金利のイールドカーブがさらにフラット化し始めたことで、これが進めば戻りを試す段階で株価が大きく下落するリスクが高まることから、ここからの相場の動きがどうなるのか引き続き厳重な注意が必要になりそうです。

トルコ中銀も予想どおり1%利下げ

16日の中銀政策決定会合でもっとも注目されたのはトルコ中銀でしたが、こちらはエルドアンの強い指示に従った形で今回も1%の利下げを断行、市場はある程度織り込んでいたことから大暴落には至っていませんが、すでに対円でも7円割れ目前となってきており、流動性が枯渇する年末年始に関しては突然の大幅下落にさらに注意が必要になってきています。

今回の政策決定で一応利下げは一旦止めることとされていますが、インフレの継続的な高まりの中にあっては実質的にマイナス金利であることは確かで、何かをきっかけにしてさらに対主要通貨で下落する危険性は一段と増しています。

トルコリラ円15分足

再度利上げ後ずれかと思われたBOEは利上げ断行

BOEは0.15%の利上げを日本時間16日午後9時のMPC(金融政策委員会)で発表しています。

市場予想は据え置きでしたが、政策金利を0.15%引き上げて0.25%としました。

本来は前月の会合で利上げが期待されていましたが、今回もオミクロン株の感染問題でさらに延期かと思われていた中でのサプライズ利上げとなりポンドは大きく上昇することなりました。

ただその後ポンド円は上昇のすべてを吐き出すように巻き戻しの下落となり、あまりいい相場にはならずに東京タイムへと推移しています。

断固として政策を変化させないECB

市場からも最も期待されていなかったECBは大方の予想どおりに政策金利の据え置きを決定しました。

同時に、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の純購入の3月終了を発表した代わりに、4-6月に資産購入プログラム(APP)を400億ユーロに増額するという市場予想通りの内容となりました。

ラガルド総裁がECBが22年に利上げする可能性は非常に低いと会見で発言したことからユーロは大きく下落を開始しましたが、その後戻して終了しています。

激しい上下動に見舞われたのはユーロ円で、ユーロドルの上昇に連れて129.64まで上げたあとドル円の売りと相まって128.45まで下げて戻りは128.85と行って来い相場を演じることとなりました。

17日には日銀の政策決定会合の発表もありますが市場はあまり期待しておらず、主要な中銀の政策決定会合は個々には多少のブレがあったものの無難に通過したことになります。

すでにこの段階で市場参加者はかなり減少しているようで、週末と週明け以降はさらに静かな相場になりそうな状況ですが、クリスマス明け欧米はすでに新年入りの状態となることから1週間後には相場は再度活性化しそうです。