先週、日銀政策決定会合を受けてさらに上昇することが期待されたドル円でしたが、結果的には大きく上がりきらずに21日のNYタイムには逆に下落する動きとなり、さらに明けた22日の東京タイムでは138円一歩手前まで上昇したものの、その後はさらに大きく売られて135円台半ばまで下げを加速することとなりました。
ドル円は140円を付けることで有終の美を飾って8月下落相場に反転するのかと想定していましたが、結果的には140円は幻の状態で8月相場を迎えることになりそうです。
基本的にはまだ上方向のトレンドは続いているようにも見えますが、一旦135円台まで下落したことで上昇トレンドは一服した可能性がかなり高く、ここから上値を更新するような上昇に戻ることができるのかに大きな関心が集まることになりそうです。
3月から一貫して上昇を果たしたドル円は5か月もその動きを継続し、すでに24円以上上伸する動きを見せたので、ここ10年のドル円相場では極めて特別な動きを示現したことがわかります。
8月は夏休みシーズンということもあり積極的な取引きは控えられる時間帯に入りますが、例年のように円高方向に下落する動きを示すのかに注目が集まります。
ユーロドルもドル高方向に戻していくことになるのかどうかが注目点
ECB理事会で市場の想定を上回る50ベーシスポイントの利上げが決定したことから、ユーロは主要通貨に対して軒並み上昇する展開となりました。
しかしこれがこの先も続いていくとは思えません。
イタリアではドラギ首相がとうとう辞任を表明しており、ロシアからの天然ガス供給であるノルドストリームもとりあえず供給開始とはなったものの冬に向けて止められてしまう可能性もあり、EU圏の先行きは暗いものが続きそうで、ユーロも上昇要因をすっかり欠く状況となってきています。
このままだと週明け以降またユーロは続落することになりそうで、今度こそパリティを正式に割り込む動きとなるかが注目されます。
すでに20年以上前の相場水準なのでFX個人投資家ははじめて遭遇するレベルとなっていますが、このときも正式に下抜けるまで2か月近くかかっており、意外に我慢比べの時間帯が長くなることもあらかじめ意識しておく必要があるでしょう。
例年ユーロドルのシーズナルサイクルとしては7月末から8月初旬にかけてユーロ高に動きやすくなることが確認されていますが、今年はそういった動きになるのかに関心が集まりそうです。
7月相場はまったく逆にユーロが弱含んでおり、例年の軌道に戻るのか、今年は完全に独自の動きに徹するのかを見極める必要があります。
FOMCで市場の事前予想が大きく変わらなければ比較的順当な相場展開となる見通し
28日午前3時からは市場が大注目しているFOMCの結果発表が行われますが、75ベーシスポイントの利上げが実施され、その他の部分にも市場予測と大幅な狂いがでなければ比較的順当な相場展開が予測されることになりそうです。
米株はすっかりFRBの動きを楽観視しており、劇的な変化が起きることは全く予想していないようですが、その予想どおりの展開となればドル円もそれほどストレスがかかるようなことはなさそうで、今回は比較的安心して見ていられそうな状況です。
ただ、肝心要のインフレ対策はこの程度の利上げを繰り返して年間3.5%程度の政策金利にいたところで本当に制御できるかはかなり怪しく、もっと素早いタイミングで利上げを連続で行う必要がある可能性が高まります。
米国の連邦債務は日本円にしてすでに5000兆円を超えており、迂闊に金利を上げてしまうと利払い自体が出来なくなることから、様々な事態を予測する必要があることも認識しておかなくてはなりません。
そういう意味では、FRBが足もとで目指している利上げレベルは実はかなり限界に近いことも考えられます。
現在ブレーナードが副議長を務めていますが、この人物が民主党のエースとなっていることからパウエルよりもブレーナードの発言がより注目されるため、今後の具体的な政策についてもブレーナード中心に話が進む可能性がかなり高いと思われます。