早いもので9月相場も終了ということになり金曜日からはいよいよ10月相場入りとなります。
今年もあと3か月を残すのみとなりますが、今月日本は年度会計の半期末にあたり、欧米では第3半期末ということで通常は相場に現れない実需の買い切り玉、売り切り玉が為替市場に突然現れることも多くなるため、チャートからみて想定した動きといきなり異なるトレードが出現するかもしれないので、かなり注意が必要になります。
とくに深夜12時のLondon Fixingにイレギュラーな売買が持ち込まれることに十分な警戒が必要でしょう。
日本は多くの上場企業が半期末決算に臨むことになるので本国への資金回帰、いわゆるレパトリの需要が出ることが多く、大手企業などはすでに円転を済ませている可能性もありますが、ギリギリで決算の都合上さらなる円転を繰り出してくるところもありそうで、ドル円は一時的な円買いダマの出現による円高方向への押し戻しに注意すべき時間帯となります。
ドル円はシーズナルサイクル的には月末から10月中盤にかけて円高傾向
ドル円はFOMCでのテーパリング11月決定の可能性をパウエル議長が示唆したことから、週が明けた9月第四週から米10年債をはじめとして金利が大幅に上昇を始めており、早くも利上げを織り込むかのような相場展開になっています。
すでに先週段階で110円台中盤のレジスタンスラインを明確に上抜けし始めているので、週明けは111円台に乗せていくことも期待できそうですが、過去20年のシーズナルサイクルから見るとここから来月後半にかけてまではあまり円安が進まないので、今年だけがイレギュラーな動きになるのかどうかを注目していきたいところです。
このチャートでは上方向が円高として見ますが、来月後半に向けて円高に動かないかどうか慎重に見極める必要がありそうです。
このシーズナルサイクルには我々個人投資家が感知できない実需の季節性を伴った売買も含まれ、相場環境が毎年変わっても結構同様の動きを示現しやすくなるので、やはり無視はできない情報となります。
今年日本の自動車メーカーは半導体不足から自動車輸出がかなり限定的な状況に陥っており、売上の低迷からレパトリの額が減って例年どおりの相場の動きにはならない可能性もあるので、ここからの相場の動きを十分に見極める必要があるでしょう。
ユーロドルは月末にかけてユーロ安気味に展開がシーズナルサイクル
足もとのユーロドルはドル高傾向にかなり傾斜する動きとなっていますが、こちらも過去20年のシーズナルサイクル的に見ると、10月月初はユーロ安になりやすくここからさらに下落する可能性に注意が必要です。
実際ECBはまだ延々と緩和措置を続ける動きを見せていますがFRBはすでにテーパリングの実施と来年の利上げの議論を進めているので両中央銀行の政策コントラストは明確になってきており、ここから当面ユーロ安ドル高が継続することも視野に入れておきましょう。
豪ドル、NZドルは月初にむけて押し込みに注意
オセアニア通貨の豪ドル、並びにNZドルは米株の動きとシンクロしやすくなるのが特徴ですが、9月末から10月初頭はともに対ドル、対円で押し込まれやすくなりがちであり、とくに豪ドル円はさらに下落する局面を考え置かなくてはならないようです。
もちろん今年が例年のシーズナルサイクル通りに動くとは限りませんが、実需の絡みも考えるとこうしたサイクルに合わせた動きになることは意識しておきたいところです。
豪ドル、NZドルともに年末に向けて上昇しやすいだけに、ここからはどこで底値を拾えるかが大きなポイントとなります。
こちらも決め打ちは危険ですが、例年の動きとどのように差が出るのか、あるいは同調してくるのかをしっかり見極めたい時間帯です。
中国恒大集団問題は引き続き懸案事項として推移
中国恒大集団のデフォルト懸念で先週大きく相場は下落しましたが、週末までには日米両株ともに買戻しが入り一旦は落ち着きを取り戻したかのような相場状況となっています。
しかし現実ではなにも解決できておらず、日本円にして33兆円の利払いと元本返済がスムーズにいくとは考えられません。
また新たに問題が噴出してアルゴリズムがそれに反応し相場が大きく下落するリスクも常に意識しておかなくてはならないようです。
同社の債務整理もここから相当な時間がかかることが予想されますので、引き続きその様子を見ていくことが重要です。
為替は主要国の中銀の政策変化の差から生じる金利差で相場が動くようになっており、金利上昇の可能性が高い国の通貨はやはりそれに連動するように上昇しやすくなっています。
今年後半に向けてこのポイントをしっかり認識することが大切です。