米国のバイデン大統領はロシアのウクライナ侵攻からちょうど1年経過するタイミングを見計らって電撃的にキーウへの訪問を実施し、欧米のメディアではその模様が大々的に取り上げられることとなりました。
さぞや国際社会の支持、また米国民の高い評価が得られたのだろうと思いましたが、実は結果は全く逆でこれだけロシアのやり方が強引なものに見えても世界は必ずしも米国のやり方を支持していないという大きな問題が顕在化しつつあります。
ややもすればバイデン政権は2024年の大統領選挙まで持たなくなる可能性すらでてきており、それを受けての相場の状況も複雑化、深刻化しそうな状況になってきています。
バイデン支持の筈の米国メディアがかなり辛辣な記事を出し始めた
トランプと対立して以来強く民主党バイデン政権をサポートしてきたメディアの一角が、ここへ来て反バイデンに寝返りを打つような報道を始めています。
その筆頭にあげられるのがニューヨークタイムスで、ウクライナ戦争が始まって以降国際社会がワシントンとNATOの側にいて支持しているという記事を連発しましたが、足元でいきなり世界の国々の大多数がロシアとウクライナの戦争に関して米国のアプローチを支持していないという現実を認め始めています。
バイデンを強くサポートしているのはG7加盟国だけで、無条件で米国の対応に強い支持をしているのは中でも日本の岸田首相だけという状況のようで、国連加盟国の実に49%がこのウクライナの紛争はロシアと欧州圏、米国の戦争であると認識しており、個別国は関わらないようにしているというのが現実のようです。
本邦のメディアだけ見ていると悪いのは圧倒的にロシアで、国連でに世界が連携してロシアを追求する姿勢が展開されているかのような報道がされていますが、実態はそれとはかなりかけ離れていることが見え隠れし始めています。
APとNORCが実施した米国民の調査が示す米国民のかなり厳しい反応
ロシアのウクライナ侵攻から1年というタイミングでAPとNORCが実施した米国民の調査が公表されましたが、それによると調査の対象となった成人男女のうち19%が意味のあるディールであると回答していますが、37%は多少は意味があるとしており、残りの43%は全く意味なしと答えています。
民主党支持者だけに限ってみればそれでも4割はバイデンのウクライナ対応を支持しているようですが、共和党支持者でこれを支持しているのはたった2%で、76%が全く意味なしとしているので2001年の9.11以降米国民が右翼化してビンラディンとの戦争に立ち上がろうとした過去の状況と比較すると相当冷静で、かつ予想以上に冷ややかであることが見えてきます。
また42%の国民がバイデンが米国としてウクライナに関与することについて一応の承認をしている一方で、54%の人々がそれを認めていないという厳しい結果も示現しています。
とくに主体的な役割を果たすべきと思っている人はたった26%で、バイデンがいくらウクライナ対応で国民に雄姿を見せようとしてもほとんど評価と支持率の向上には寄与していないという厳しい現実が明らかになりました。
ロシア・ドイツ海底パイプライン爆破は米国説という報道も大きな痛手
直近ではロシアとドイツを結ぶ海底パイプライン「ノルドストリーム」の爆破事件が米国による犯行ではないかといった報道が駆け巡ったことも暗い影を落としています。
一部のジャーナリストはバイデンが指示して行ったものであると断じる内容も飛び出しており、真偽のほどはわかりませんが国際社会の多くが当然だろうという理解をし始めている点も非常に気になります。
バイデン大統領はキーウ電撃訪問の演説において、全米では各家庭や施設でウクライナの旗が広範にはためいており、米国民はこの戦争が米国の代わりにウクライナが行っている代理戦争であるという強い認識を示しているなど耳障りのいい話をしていますが、実際にはウクライナの旗を立てている家庭など皆無で、演説に嘘を平気で差し込んでくる大統領の姿勢にうんざりとする向きも増えているようです。
バイデン政権が消滅すればESGやSDGs、昆虫食も雲散霧消か
バイデン政権発足以降米国を中心に環境を重視したビジネスが注目され、ESGやSDGs、直近では昆虫食なども大きな注目を浴び金融市場でも関心が集まりましたが、実際のところはかなり唐突でESGなどはっきりとした実態のつかめないものも多く登場しました。
しかしバイデン政権がウクライナへの関与をきっかけにして様々な部分でぼろを出し、疑惑が高まるような状況が続けばこの領域のビジネスも一変に吹っ飛ぶ可能性があり、投資家視点でもこの政権の動向がかなり大きな問題になりそうな状況となってきました。
足元ではハンターバイデンが余分なことをしていた事実も次々露見しそうで、米国はインフレかリセッションかといった問題にさらにバイデン政権の問題が加算されそうな雰囲気を醸し出しており、今後の推移をしっかり見守っていきたいところです。