3月に入ってドル円相場は上昇こそすれどもそれなりに押し戻されるというかなり神経質な動きを続けており、米債金利が上昇すれば正相関で上昇するものの、逆に下落すると一緒に下落をともにするといった難しい相場を継続中です。
チャートから見ると上昇基調は続きそうですが、ここからどんどん上昇するかどうかは要人発言や経済指標次第でなかなか難しい時間帯を過ごすことになってきています。
週明けはパウエル議会証言、黒田日銀会合発言、米国雇用統計といった3つのイベントが中心テーマになりそうで、引き続き油断を許さない時間が継続することになりそうです。

パウエル議会証言ではインフレと利上げの見通しに注目が集中

3月7日にはパウエルFRB議長の議会証言が控えていますが、すでにこのコラムでもお伝えしているとおり政策立案の支柱でもあったブレーナード女史がNECの委員長に栄転してしまった後なので、ここからの政策はパウエル次第の状況にもなっており、前回FOMCでディスインフレを口にしてパウエルプット派をぬか喜びさせた動きが今回の議会証言でも続くことになるのかに注目が集まるところです。
バイデン大統領は2024年前にインフレをとにかく沈静化させてしまいたいと思っているようで、多少株価が下がってもFRBが徹底的にインフレ退治をほどこすことを期待しているという報道も出回り始めていることから、パウエルはそう簡単に弱気に転向しないのではないかという観測も出始めています。

実際問題多少低減したといっても7%もインフレが進んでいる中で、5%台前半で利上げが終了することで本当にインフレ退治になるのかという問題は常に付きまとっており、パウエルがどこまで覚悟をきめてインフレに向き合うのか次第で、相場はここからも相当荒れそうな状況になってきています。

直近ではFRBの高官が利上げスピードの減速を示唆すればすぐに債券金利は下落する始末で、市場は想像以上に神経質な動きをとっています。
したがって7日の議会証言でパウエルがどのようなニュアンスで話をするか次第ではドル円は猛烈な上昇になる可能性も、逆に沈み込む可能性もあり、結果を見てから売買を決めていく必要がありそうです。

日銀会合は黒田総裁の最後の会見が注目される

そして3月10日には日銀政策決定会合の結果発表が行われます。
次期総裁、副総裁が決まっているのでこのタイミングで黒田総裁がなにか政策決定を覆すことなどは考えられませんが、最後の会見での発言のニュアンスで相場が動き出すリスクは依然残されており、こちらも注意が必要になりそうです。

直近では10年債の利回りがまたしても投機筋の売り浴びせにあって0.5%を超える状況になっていますが、本来であればこの状態を放置しておくことはできないはずなので、なにかYCCに対してコメントをするようなことになればさらに相場が動く危険性もありこちらも相当な注意が必要です。
とくに具体的にYCCの上限をさらに変更するといった発言がでた場合にはドル円は大きく下落する可能性があり、前回昨年12月20日の7円規模の下落ともなれば一気に130円割れといった展開になることもある程度覚悟する必要があります。

週末金曜日は米国雇用統計

そして10日の夜10時半に発表となるのが米国の雇用統計です。
前回は季節調整を含めてNFPが50万人を超えるというウルトラサプライズがありドル円は大きく上昇しましたが、今回も同様のサプライズが起きた場合には相当な動きが出る可能性があり、こちらも十分な注意が必要となります。
逆に数字が悪化するようであればFRBの利上げペース低下が考えられることから米債金利は下落、ドル円もそれと正相関に下落することになるので指標次第で相場が荒れることはあらかじめ考えておかなくてはなりません。

ドル円は現状では上方向に突き抜ける可能性大

3月に入ってからのドル円は結構上下動を伴って必ずしも上方向にいくとは限らないような動きを見せていますが、2月からの相場は間違いなく上方向に動いており、先週137円を一瞬超えたことから材料がそろえば140円方向に上伸する可能性が高まりつつあります。
すでに米債金利は4%を超えるような動きになっており、債券金利の上昇次第ではさらに上を目指すことも想定する必要がありますが、さすがに昨年秋のようのな青天井の動きにはならなさそうで3月末という年度末の特殊な相場状況の下でどこまで上値を試すことができるかに注目が集まります。

テクニカル的には138円レベルはかなりいい線ですが、勢いがつけば140円タッチも全くあり得ない話ではなさそうで、迂闊なレベル感からの戻り売りは相当注意する必要がありそうです。

ドル円一週間の動き

ユーロドルもドル次第の状況に

動きがはっきりしないのはユーロドルも同様で、すべての動きはユーロよりもむしろドル次第の状況になってきています。
ここへきてラガルド総裁ももう一段利上げを明確に示唆しはじめており、伸びしろという点ではユーロもまだまだ上昇余地がありそうですが、ECB理事会の開催まではドルがイニシアチブをとることも考えられ状況は微妙です。
相場のレンジとしては1.0475あたりから1.08レベルで推移しそうですが、ドルの動き次第では上抜けも下抜けも覚悟しておかなくてはなりません。

ユーロドル一週間の動き

週明けは日替わりで相場を動かす材料が変わるので、それ次第で上値追いや下値追いという全くことなる動きが示現する可能性が高く、あらかじめポジションを持たずに結果を見ながら慎重に売買する姿勢が求められることになりそうです。