5月第四週の為替相場はドル円が大幅に上昇し、週明け早々の安値137.49から週末にかけ140.72まで上昇するという異例の展開となりました。
上昇にはいくつかの要因が見られましたが最大のポイントは米債利回りが大きく上昇したことで、これがドル円を押し上げる要因となっています。

米10年債一週間の利率の動き
ドル円1週間の動き

米10年債利率の推移チャートとドル円チャート1週間の動きを比較してみると分かるとおり、金利の上昇にドル円がリニアに追いかけており、6月のFOMCまではこの動きがさらに継続しそうな状況になってきています。
米10年債はすでに3.9%近くまで来ているためかなりいい線まで上昇していますが、6月FOMC、さらに7月FOMCでも0.25%ずつの利上げを市場が織り込み始めているのでまだ上昇余地はありそうで、調整下落をはさみながらもいかに上手くついていくかがトレードの着目点となりそうです。

ドル円の上昇はスピード違反だがまだ高値はありそうな状況に

ドル円過去1年の動き

139.500円は昨年のドル円の高値からその後の安値までの半値戻しとなるため、ここをすんなり超えられるかどうかが市場では大きな関心を集めることとなりましたが、結果は結構すんなり上抜けることとなり先週金曜日早朝に140円台をつけてからは東京タイムでかなり調整的な売りもでて139.500を下まわる時間も見られました。
米4月コアPCE価格指数が予想外に伸びが拡大したため6月連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が上昇し、長期金利上昇に伴うドル買いが加速、またメスター米クリーブランド連銀総裁もインタビューでもう少し利上げが必要になるとの考えを示唆したことからドル円は140円台に乗せることとなり、5月ミシガン大学1年期待インフレ率確報値が低下したことで一旦緩みましたが再度債券金利の上昇にあわせて再上昇し、170.720円レベルまで高値を更新して140.600円台で週の取引を終えています。
週初からあっさり3円以上も上昇するのは明らかにスピード違反ではありますが、半値戻しを超えたことでここからさらに142.500円レベルまでの上昇は想定する必要が出てきています。

米国のデフォルトは回避と読み込みはじめた市場

米国の債務上限問題に関してはまだ決着・合意ができているわけではありませんが、バイデン大統領がかなり楽観的な見通しを語っていることに加え、イエレン財務長官がデフォルト期限を6月1日から5日と後ずれさせたことから金利が上昇しても米株が大きく買い戻されることとなり、株高で債券金利高、ドル円ドル高という状況が示現することとなりました。
また万が一デフォルトとなった場合にはドルに対する需要の拡大や債券金利のさらなる上昇予測からドル円はもっと上を目指す不本意ながらのドル高円安となることも考えられ、全般的にドル高要因が累積するような状態になってきていることがわかります。
ただ、この話はあくまでも人が介在する政治的な問題なので、最後の最後まで交渉がもつれこんだ場合テクニカルデフォルトの状態に一時的に陥ることもあるため、最後まで安心せずに見届ける姿勢が重要です。

週明け29日はメモリアルデーの祭日で米国が休場、ロンドンなども相次いで休場となることからほとんど動きはないものと思われますが、30日には5月消費者信頼感指数の発表があり、31日はベージュブック、5月シカゴPMI、4月JOLT求人件数が相次いで発表されることから6月FOMC利上げを追認する指標結果になるかが注目され、6月2日には早くも5月の雇用統計の発表となるためまた指標に振らされる動きが続きそうです。
ただ市場はすでに6月7月FOMCでの利上げをかなり織り込んでいるので、逆にインフレ鎮静化を示す指標が発表になると下落が大きくなることにも注意が必要となるでしょう。

ユーロドルはドルの動き次第でさらに下落の可能性も

ユーロドルは先週もお伝えしたとおり、上値追いに一旦失敗していることから下目線の展開が強まりそうですが、ドル円のところで紹介したような経済指標次第ではドルが売られてユーロが買われるという動きがでることは十分に予想できるので、指標発表時間帯には十分な注意が必要になりそうです。
ドル全般で見てみるとドル円だけが異常にドル高を進めている状況ですが、ほかのドルストレートではそれほど急激なドル高にはなっていない点は理解しておく必要があります。
しかし相場を動かす指標、材料は米国市場に思いきり偏っているので話題の中心になるのはドルであることは間違いなく、常にドルに影響を与える材料を注視しながらトレードすることが肝要です。

ユーロドル一週間の動き

週明けは早いもので5月の月末となりますが、月末のリバランスではドル買いが増えるといった予測もではじめているので31日のロンドンフィキシングあたりの相場の動きにも注意したいところです。