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テスラ株の大幅上昇で、イーロンマスクの保有資産がとうとう日本円にして35兆円を超え、個人の保有資産としてトヨタ自動車の時価総額を超える1位に輝いたことがわかりました。

これまで個人資産でドルベースで3000億ドルを超えた人はイーロンマスクが史上初となりました。

テスラ株が上場からたった11年あまりで時価総額1兆ドルを超え、足もとではさらに上昇を続けていることがイーロンマスクの史上最大の長者誕生に寄与していることが見て取れます。

テスラは確かに急成長しているが年間100万台の生産にもならない企業

今年10月20日にテスラが発表した2021年第3四半期の決算によると、売上高は137億5700万ドルと前年同期に比べて57%増、純利益は16億1800万ドルと4.9倍に拡大し、売上高、純利益ともに過去最高を記録しています。

確かにこの会社の営業利益率は自動車業界でダントツに高い14.6%まで上昇しており、広告費は一切使わずR&Dに爆発的な資金を投入するという業界内では類を見ない存在であることは間違いありません。

年間のEV生産台数はようやく100万台が視野に入ってきましたが、そもそも同社の売上は最新の四半期の金額を4倍にしても日本円では6000憶強のサイズでしかない点を考えると、すでにこの時点でトヨタの時価総額の4倍の時価総額に膨れ上がっているのはあまりにも株価が高い印象があります。

Data Tradingview

これまでテスラ株をショートで挑んだファンドも多かったがほぼすべて全滅

ただ侮れないのはテスラの株価の推移で、こうした企業業績を明らかに高いとみた一部のファンド勢がこれまでテスラ売りで仕掛けてきましたが、結果的には負け、売り浴びせはすべて跳ねのけられるという凄まじい上昇過程に入っていることがわかります。

直近では、イーロンマスクが自分の保有株を10%売却したほうがいいかどうかツイッターのフォロワーに質問し58%が売りと答えたことから近く売り出す可能性があり、これを受けて一時8%近い下げを記録することになりましたが、それでもまだまだ上昇は続きそうな状況です。

このテスラ株の上昇は同社の技術力や商品開発力などが高く評価されて実現していることは間違いありませんが、長年に渡るFRBの緩和措置がこの会社に資金を集めるバブル銘柄になっていることも間違いなく、果たしてこの株価が正当な評価額なのかどうかに対しては疑問が生じます。

イーロンマスクがPayPalの起業で確保した大きな金額を事業資金として投入し、リスクがありながらもテスラをここまで大きな会社にしたのは評価すべきことであり、応分の創業者利益を持ち株から確保することにも決して異論はありませんが、それでも限度はあるはずで一人の事業家の資産がテスラの上場と持ち株だけで35兆円にもなるというのは法外な金額であることは間違いありません。

もちろんイーロンマスクはどれだけ株が上昇しても持ち株を売れるのは経営支配権が及ぶ量の範囲内で、35兆円といっても半分は使用できませんが、それでもその金額の大きさはアメリカンドリームといって喜ぶレベルをはるかに超えており、本当に一部の人間だけにカネが集まる社会になってしまったことを市場に見せているような状況です。

悔しければテスラの株を買えばいいと思うかもしれませんが、すでに1200ドルを超え始めたこの株をいまさら買いに回るのも相当なリスクであり、結局上昇の様子を見守るしかないのが現実です。