7月7日に発表された6月度の米国雇用統計は非農業部門雇用者数が20万9000人増と2年半ぶりの小幅増にとどまり、市場の事前予想である22万5000人増を下回る結果となりました。
この間続いた新型コロナに関連した特別な雇用相場が終わったことを思わせる内容でした。
ただ、FRBが気にする賃金は依然として堅調な伸びを維持し労働市場の強さが示されたことから、FRBが今月後半の会合FOMCで利上げに踏み切る公算はさらに高まり、市場はすでに9割がそれを折り込む状況となってきています。
これを受けて米株相場は続落しましたが、その一方で米債金利はまた上昇に転じており、すでに短期から長期まで安定的に4%台を維持した推移になっています。
雇用統計の結果を受けてドル円は一旦激しく売られましたが、その後は143円台まで回復する動きを見せたもののNYタイムに入ってからは再度売りこまれる状態で終盤は戻りを試すこともなく142円台初頭で週の取引を終えています。
雇用統計の結果だけから見ればここまで売込まれるのには相当違和感を感じましたが、ユーロ円をはじめとするクロス円はロンドンタイムのスタートあたりから激しく下落することになり、これがドル円を押し下げる最大要因になってしまったようです。
雇用統計前にポジション調整を終えて戻したユーロ円は発表直後から大きく売られうることとなり、こちらもほとんど値を戻すことなく下落したまま週の取引を終えています。
週明けドル円のレンジは142円から144円あたりで推移だが指標次第で下抜けも
ドル円は143円を割れればそれなりに走るものの、一旦142.600円レベルがサポートラインとして機能することが期待されました。
しかし結果的にはクロス円の大幅下落の影響をもろに受け、すでに142円割れ寸前のレベルまで下落してしまっています。
ドル円の上昇トレンドは財務省の介入を待たずにとうとう終わりを迎えた感が強くなりますが、ここから一気に140円割れまで走る材料も見当たらず、一旦は142円アラウンドから144円あたりを高値にしてレンジで推移することが予想され始めています。
ここからの相場は押し目買いよりも戻り売り優勢となりそうで、それを十分に見極めながらトレードしていくことが必要です。
先週一週間で見ると前半はまだ145円を試すことが期待される値動きでしたが、7日は東京タイムから値が崩れはじめもはや145円は相当遠い水準になってしまいました。
ドル円の相場だけみていると何故ここまで下げらなくてはならないのか理解できないものがありますが、トレンドサイクルがすでに終わりを迎えてしまったことから7月、8月相場については下値模索をもっとも注意すべき時間帯に入っていることを感じさせられます。
週明け相場では7月12日には6月月次の米国CPIが発表になりますが、すでに7月FOMCの利上げは確定的としてもそれ以降の利上げがどうなるかを占ううえでは非常に重要な指標で、今回発表される月次CPIでは前年同月比で3.0%の上昇と5月(4.0%上昇)からの鈍化が予想されています。
また翌13日には同生産者物価指数(PPI)が発表されることから、こちらの数字も鈍化することになるとドル円は142円を下抜ける展開も予想されます。
ユーロドルも引き続きレンジ相場継続の見込み
ユーロドルは5月に高値をつけてからというもの、もう一つ勢いを失った推移が続いています。
ただ週末雇用統計の結果を受けてユーロドルは大きく値を持ち直す動きとなっており、一旦値を戻す展開も予想されるところとなっています。
これはユーロが強かったというよりはドルが弱含んでしまった結果で、週明けもドル次第でユーロドルは上昇したり下落することが予想されます。
それだけにトレードは予想以上に手がけにくく、戻り売りを基本として売買するのがもっとも得策となりそうな状況が続きます。
ただ1.10000レベルには強烈なレジスタンスの壁が控えているため、戻しても青天井とはならず引き続きレンジ相場となる可能性は高くなります。
7/11に予定されているドイツ7月ZEW景況感指数の結果と7/12に予定されている米6月消費者物価指数の結果次第ではまた大きく下落するリスクも高まることになりそうです。
下値の目途は1.0775レベルで、それよりも下まわるためにはなにかよほどの相場材料が示現することが求められることになります。
7月に入ってから為替相場のそれぞれの通貨ペアの動きは今年4月から6月あたりまでのものと大きく変化し始めているため、これまでの感覚で取引をするのは非常に危険です。
状況の変化を粒さに見届けてからポジションをとるという慎重な取引をつづけていきたい時間帯です。