9月の相場は、最終週にドル円が149円台後半まで上昇したことから、多くの市場参加者が間もなく150円突入かつ当局介入かと気色ばんだものでした。
ところが去年のような上昇過熱感は見られず、3歩進んでは2歩下がるという上下動を繰返していたため、本邦財務省も明確な介入の大義名分を得ることができず、結局介入なしのまま10月を迎えることとなりました。
しかしドル円は、依然米債金利との強い相関性を保ちながらじりじりと値を上げる動きを維持しているため、介入への警戒は10月相場に持ち越された状況です。
榊原元財務官は155円水準がドル円介入のポイントと予測
介入への期待からドル円を売り持ちするトレードのことを、巷では「神田トレード」と呼んでいますが、連日50銭にもならない上昇が続いていることに加え、29日にはロンドン勢によるロングリクイデーションから一気に1円近く下押ししている場面もあっため、ロングを維持するのもショートを仕込むのも、そのタイミングが非常に難しい状況になっています。
財務省による介入は150円を超えてからと見られますが、1日に2円以上値を上げたタイミングが介入ポイントとなれば、連日のじり高のまま155円を超える可能性もあります。
暴騰ではなく水準感からいずれどこかで介入を仕掛けてくるであろうことが予想されますが、その時期をどう見極めるかが大きなポイントになりそうです。
仮に150円で売りを入れても155円まで担がれてしまっては、介入で5円抜けたとしてもトレードの妙味が失われることになるため、売りのポイントは相場の状況を見ながらしっかりと見極める必要があります。
155円で介入となった場合、5円程度の押し下げでは殆ど成果としては認められないため、少なくとも140円台初頭までは下落させるような凄まじい介入資金の投入が予想されます。
下落後の水準感を一定のレベルに保つという意味でも、神田財務官がこのまま150円を超えてもなお相場の上昇を待つとは考えにくいため、意外に早いタイミングで介入が行われることも想定しておく必要がありそうです。
暫定予算案可決で米政府機関閉鎖を土壇場で回避
2024会計年度(23年10月~24年9月)入りが迫る中、米議会下院は29日、当面の政府資金を賄う「つなぎ予算」案を否決したため、1日からの米政府機関の閉鎖はすでに免れない状況であることが危惧されていました。
しかし、30日ギリギリに米下院が暫定予算案を超党派で可決したことから、連邦政府機関の閉鎖は土壇場で食い止められることになりました。
法案は上院へ送られ、期限である30日深夜の前あるいはそのすぐ後に上院での採決が行われることとなり、そこで手続き上のハードルを引き上げる動きがなければ、このまま回避できる見通しとなっています。
一部の格付け会社は、米政府機関の閉鎖が現実のものとなれば、米国の格下げを考えるとしていたため、金融市場にとって閉鎖の回避は朗報です。
議会が毎回予算案を材料とし、政治的な問題として綱引きをするのにはもう飽き飽きですが、すでに伝統芸と化している状況と言えそうです。
ユーロドルは週足で11週連続の弱含みの展開に
ユーロドルはドル円と逆相関で動くため、月末にはドル円が弱含みとなった拍子に値を戻すという展開が見られました。
またユーロドル相場では実需も大きく影響するため、月末のリバランスによりユーロが一時的に買われる場面もありましたが、週足ベースでみると7月から11週連続で陰線引けを続けており、ユーロに有利な材料が出ない限りは、再度パリティを視野に入れる必要も出ている状況です。
週明けの為替市場は、本邦の介入と米国の政府機関閉鎖がその後どうなるかが焦点となりそうで、経済指標以上に注意を払いトレードを進めていきたい状況です。
このような相場は、想定と結果がまったく違うという事態もよく発生するため、想定外の状況に陥ったときの対処法についても予め考えておきたいところです。
今年も残すところ3か月となり、利益確保を焦る投機筋が無理な売買を仕掛けてくる時間帯でもあるため、何が起こっても冷静に対応できる姿勢を保つことが重要な一週間になりそうです。