1月にFX取引業の業界団体である金融先物取引業協会が18日に発表した内容によりますと、日本の個人による2022年の外国為替証拠金取引額が前年比2倍の1京2074兆円と過去最大となったことがわかりました。
1営業日換算では個人の取引だけで45兆円に達しており、国際決済銀行(BIS)によると日本の銀行間の通貨取引高は1営業日で約4300億ドル(約55兆円)なので銀行間の通貨取引の8割に相当する金額となっており、為替相場に与える影響は絶大でとくに取引全体の6割近くを占めるドル円の売買では国内個人投資家のトレードが相当市場に影響を与える存在になっていることがわかります。

ただこの国内のFXデリバティブ取引は口座をもって利用している店頭取引業者との相対取引なので、その金額のすべてがインターバンクに接続されているわけではなく、これだけ市場が大きくなっても店頭取引業者との取引については必ずしも透明性が確立していない問題が継続中です。

1京円規模は世界最大の個人投資家FX市場

この年間1京円市場というのは世界の個人投資家FX取引でも最大に市場で国内口座開設者数はほぼ500万人といわれていますが、実際のアクティブユーザーは100万から150万人程度とされており、個人でも相当多額な売買をする向きが増えていることが窺われるところです。
国内取引では2005年7月に東京金融取引所が上場した取引所為替証拠金取引、通称くりっく365と個別の店頭取引業者の口座取引がありますが、スプレッド等の取引条件が圧倒的にいいことから多くの個人投資家が店頭業者で取引をしているのが実情となっています。

国内ではこの150万人程度のリアルな個人投資家と新規に取引をされようとする顧客を業者同士が魅力的な取引条件で取り合いをしているのが現実で、そのドアオープナーとなるドル円取引はスプレッド等の取引き条件が凄まじい競争になっているのはご案内のとおりの状況です。
ただほとんどゼロに近いようなスプレッドでまともな商売になるはずはなく、国内業者は顧客の売買ポジションを利用して他国ではほとんど見られない特別な取引を行っています。
これがディーリングデスクで売買するDD方式と呼ばれるものです。

社内にディーリングデスクを擁する国内店頭FX業者に感じる違和感

海外FX業者の場合、日本人が経営者であるといった特別な会社を除けばほとんどが顧客からのオーダーはすべてアルゴリズムを利用した個別の電子取引市場でリクイディティプロバイダーに出してその差額のスプレッドを利益としているので、唯一の収益源であるスプレッドは国内業者よりもかなり大きくなりますが、顧客のオーダーと利益相反を起こすようなことは一切やらないビジネスモデルとなっています。
これが社内にディーリングデスクを置かないことからノンディーリングデスク、通称NDDと呼ばれるもので海外業者は取引量を増やすことだけに専念することになる典型的なインターネットビジネスモデルであることが大きな特徴です。

ところが国内のFX業者の場合、総勢で40名程度しかいない企業規模にもかかわらずほぼ8割ぐらいの会社がディーリングデスクを設置して顧客の売買ポジションをベースに特別なトレードを行っております。
これがDD方式と呼ばれており、他国ではほとんど行われておらず日本人独特の取引形態として確立していることがわかります。

DD方式の店頭業者では顧客から出されたオーダーに対し、反対売買、カバー先への投げ、顧客間の売買の総裁、呑みといった4つのトレードを行っており、とくに顧客の損失が大きな利益になっている状況です。
これがあるからこそ驚くべき狭いスプレッドの提供も可能になり、新規で取引する素人のほぼ9割が投入した資金を損失で失って退場すると言われているので、とにかく新しい顧客を獲得し大きな損失を出してもらうのが最大の収益源になってしまっています。
まさに利益相反の極みですが、ここまで国内市場が大きくなってもこのDD方式をやめる業者は非常に少ないのが現状で、まさにこれこそが店頭業者との相対取引を不透明なものにしている状況です。

インターネットを利用したFX取引というと皆同じに見えますが、実は画面の裏側に存在する業者では国内と海外では大きく異なるビジネスモデルが展開されており、しかも国内業者のそれは何年経っても拭えない不透明感を抱えているのが実情です。

欧州の顧客を相手にする海外ブローカーの海外口座は国内業者よりはるかに安全な存在

海外FXブローカーはどこか一社でも出金がうまくいかなかったなどという話が出回ると危ないという短絡的な話が出回りがちですが、海外居住者は海外FX業者しか利用できないのですべてが危ないというのは極端な話です。
実際調べてみると欧州圏で顧客を相手にしている業者は金融当局から厳しい規制を受けているので、そうした法人がタックスヘブンの地に日本人向けに開設し別法人での取引は予想をはるかに超える安全な存在になっています。

とにかく顧客と理不尽な問題を起こしてしまうと本拠地であるEU圏で金融当局から厳しく取り締まりを受けてビジネスが成り立たなくなるため真剣そのものです。
しかも欧州に本社を置く業者はほとんど欧州圏で金融監督庁から必須とされているゼロカットシステムを海外法人にも適用していますので、どのような暴落が起きても一切追証が発生しないというメリットをもっています。
実は国内の金融庁はこうしたシステムは業者による損失補填と認識しているため国内業者での実装は一切認めていないので、これだけでも国内業者にはない大きな特徴です。

ハイレバレッジや多額のボーナスプログラムのほうに目がいきがちですが、優良な海外ブローカーはここでご紹介したNDD方式を採用しているので、基本的な提供ビジネスモデルがかなり顧客にやさしいものであることが理解できます。
1京円超という大きな市場になった国内でのFX取引こそ優良な海外FX業者をみつけてトレードすべきであることが鮮明に見えてきます。