感謝祭明けとなる今週の相場は、市場参加者も少なく比較的緩慢な状況から始まりましたが、FRBの利上げ終了が織り込まれる中、その実施のタイミングに市場の関心が集まっています。
関心が集まるというよりは、そのような雰囲気を醸成しようとしている存在がありそうな状況で、AIのアルゴリズムもこの動きに加担しているのではないかとの見方もあります。
米債金利が大きく低下したことで、ドル円はニューヨークタイムに下落が強まり、一夜明けた東京タイムもその流れを引き継ぐ展開となりました。
そろそろ年末ラリーが強く意識される時期ですが、今年は例年とは異なる動きになることも想定しておく必要がありそうです。
市場が織り込み始める来年5月の利下げ
これまでの状況から見ると、利上げ終了から利下げに転じるまでは11か月~1年ほどのリードタイムがあり、その間株価は比較的堅調に推移しやすいことは、FRBの高官をはじめウォール街でも広く知られています。
しかし21世紀に入ってからは、2000年のITバブル時や2008年のリーマンショック時の2度にわたり、利下げが引き金となり相場が暴落するという事態が発生しています。
多くの市場参加者は「利下げ = 株価の再上昇」となることを期待していますが、過去の事例を見るとそれが実現するかどうかは不透明な状況です。
最新の FedWatch ツールによると、来年5月にも利下げが始まる確率が高まっています。
また市場に出回り始めているオッズでは、3月に利下げが開始となる確率が15%から30%に跳ね上がっており、利下げに対する市場の前のめり感が否めない状況となっています。
来年早々となる3月に利下げが開始されるという想定は、一部の市場関係者をはじめ市場のセンチメントでも早い速度で広がりを見せています。
2008年のリーマンショック以降、FRBは相場に問題が露見するたびに金融政策を打ち出してきたため、市場参加者はすっかりそれに慣れてしまっているのが現状です。
利上げの次はインフレ鎮静化のため利下げにいち早く舵を切ってくれるであろうという期待が、こうした動きを示現させているものと見られます。
ただ過去の事例を見ても、利上げ終了からたった3~4カ月で利下げに転じたケースはないため、
やはり市場期待感はいささか過熱気味であると言えます。
ドル円は金利低下の煽りで147円割れ
こうした動きを受けて、ドル円は11月29日の東京タイムで再度147円割れを試し、すでに146.663円レベルまで下押している状況です。
感謝祭前に付けた147.16円レベルも下抜けしているため、テクニカル的には完全に下落トレンドに突入したことになります。
投機筋主体で下値を狙う動きが非常に強まっている状況であるため、今後これが持続するのかが気になるところです。
全体的に市場参加者が少ない中、AI実装のアルゴリズムが予めプログラム化された動きをしている可能性もあります。
ここから年末に向けては実需の売買も伴うため、円高状態がいつまで継続するかを注意深く見ていく必要がありそうです。
このところの米債金利における急低下には、異常さを感じざるを得ません。
12月15日の早朝にはFOMCの政策発表を控えていますが、もしそこで明確な早期利下げの意思が見られなかった場合は、失望売りが出やすくなるため株、為替の動きともに注意が必要になります。
今週の金曜からは12月に突入します。
ここから年末に向け相場は荒れることが想定されるため、一方向に動くと断定せずに柔軟に対応できるよう準備をしておくことが大切です。