いよいよ週明けから、本格的な3月相場が始まります。
2月のドル円は、勢いを増し150円台に乗せたまでは良かったのですが、その後なぜか上値追いが出ることはなく、とうとう3週間近く150円を挟んだ足踏み状態が続いています。
過去2年のドル円における円安相場では、投機筋が挑戦的に上値を試す動きがよく見られましたが、今年は株価の暴騰状態に隠れ高値で安定を望む展開となりました。
それでもまだ材料が揃えば、ドル円が151円を超えるのではないかと見る市場参加者も多いようですが、3月という日柄の特性を考慮すると、ドル円は大幅な上よりも下値を試す可能性が高いため、トレーダーも視点を変え慎重に市況を見極める必要がありそうです。
過去1か月のチャートを見ると、ドル円は月初から意欲的な上昇を見せつつも、月央からは安定的に150円台を推移し、月末のリバランスでは149円を割ってひやりとさせられる場面もありました。
しかしその後は一旦150円台に値を戻し、低調な展開で先週の取引を終えています。
ドル円との相関性が極めて高い米国10年債金利の推移を見てみると、金利は月の前半から上昇傾向にありましたが、後半にかけては下落傾向にあり、さらなる上昇は考えにくい展開と見て取れます。
3月も米国10年債金利とのリンケージが持続すると考えると、ドル円は大きな下落にまでには至らないまでも、一旦下値を目指すリスクが高くなりそうです。
2月のドル円相場は、145.700円からの上昇相場となったため、半値戻しの水準が下落の目安と考えられます。
3月の相場を動かすメインテーマは日米中銀の政策変更
3月は18、19日に日銀の政策決定会合、19、20日にはFOMCが予定されています。
FRBは利下げを先送りするとの見方が強まっており、日銀も0.1%のマイナス金利解除に意欲を示しつつも、年度末決算への影響から4月に実施する可能性が高まっているため、両会合ともに現状維持で通過する可能性が高い状況となっています。
両中銀とも現状維持となった場合、一時的にはドル高が示現する可能性もありますが、日本が年度末を迎える3月は、毎年春分の日前後に大規模なレパトリエーションが確認されており、ドル円は円高になりやすい傾向があります。
昨年もそうでしたが、3月や11月は相場が一定の区切りになるため、自律的に円売りの買戻しが多く出る傾向があります。
IMMの最新の通貨先物によると、昨年11月に巻き戻されたはずの円売りポジションが再び溜まり始めているため、この部分の巻き戻し、つまり円買いが月の中盤に向けて発生するリスクも考えておく必要がありそうです。
いよいよ本格化する米国大統領選挙にも注目
ここのところ市場は、米国大統領選挙に関してほとんど新たな情報を織り込まずに静観してきましたが、3月5日のスーパーチューズデーの実施を期に、相場に様々な材料がもたらされる可能性が高まっています。
メディアの事前調査によると、トランプ前大統領の躍進が目立ち、年齢や認知能力が懸念されているバイデン大統領は完全に劣勢に追い込まれている状況です。
今回、各州における代表候補選びの結果を受け、民主党は本当にバイデン大統領で戦っていくのか、それとも急遽他の候補者を立てるのかがポイントとなっています。
仮にバイデン大統領が出馬を取りやめれば、ウクライナ戦争やイスラエル支持にも大きな影響が出る可能性があるため、週の後半は特に選挙報道に注目する必要がありそうです。
2016年にはトランプ氏の発言により市場は大きく揺さぶられており、今回はそこまで激しい動きにはならないまでも、依然として不規則な発言で相場が揺れる可能性は残っているため、取引を行う際にも十分な注意が必要です。
依然注目を集める週末の米国雇用統計
今週は8日に米国の雇用統計が発表されますが、ここのところ米国労働省が政権に忖度し、あえて良い数字を発表しているのではないかという疑惑の声も上がっています。
今月も結果が良好であれば、利下げの更なる後ずれが予想されることから、ドル円は上昇すると見られますが、逆に結果が悪ければ、素直に売られる展開となりそうです。
雇用統計は発表時の水準が重要であり、仮に数字が良好で相場が跳ねたとしても、翌週にはそれが絶好の売り場となる場合もあります。
ドル円は2月に、151円より上を試し、財務省の介入示唆発言で大きく下落するというプロセスを通過していれば、判断のしやすい相場となっているはずでしたが、実際には上値で足踏みする状態となってしまったため、ここからは逆に下値を追う展開となることが危惧されます。
ただし、よほどの材料が出ない限り、140円台前半レベルまで急落するとは考えにくく、一定の下げ場で買いに向かうチャンスが生じることも意識しておく必要があります。