ドル円相場は、2月に150円を突破して以降、長らく横ばい状態が継続しています。

3月後半に一度は151円台を試したものの、152円台に乗ることができず、高値で膠着するドル相場に、市場参加者はイラつきを募らせています。

神田財務官は、現状の高値推移は投機的な動きによるものとの見方を示していますが、2020年10月や11月のドル円相場と比較すると、それほど強烈な過熱感はないため、市場にはこの水準での推移が好ましいものと理解されているようです。

 

年初来のドル円の推移

 

ドル円が高値の水準で延々と推移することは、円キャリートレードの視点から見ると為替のヘッジリスクもないため、多くの市場参加者がそれ以上のドル高円安状況を望んでいないと考えることができます。

4月第二週に入り、ドル円相場は底値が切り上がり始めているものの、152円を超えるには上値が重い状況が続いています。

テクニカル的にも152円を超える必要性が高まっており、そろそろ上値を試すという短期投機筋が現れても良さそうなものですが、上値追いの過熱感はほとんど感じられないのが実状です。

投機筋は為替相場で売買を繰り返し、一定の方向性を定めようとしますが、すでに投機筋の円売りポジションはパンパンで、過去最高のポジションが形成されている状態です。

トレンドは実需の売買が主体となりますが、実需ベースで見ても市場はこれ以上のドル円上昇を強くは望んでいないことがわかります。

ドル円は長らく152円を超えない状況が続いており、151.900円台での戻り売りも増えつつあります。

高値で売り戻し、下落後に買戻し上昇を待つという戦略があまり効果を発揮しなくなりつつあるため、間もなく152円を超える日も近いのではないかとの見方が強まっています。

今週発表の米国月次CPIとPPIが152円突破のトリガーになる可能性も

ここ一週間の相場状況を考えると、152円台を抜けるためには、何らかの指標発表で相場が動意づくきっかけが必要となりそうです。

今週は10日に米国月次の消費者物価指数(CPI)が発表となり、翌11日には米国卸売物価指数(PPI)が発表となります。

この数値が双方ともに市場予想を上回れば、FRBの利下げ期待はさらに後退し、米債金利およびドル円は上昇することが予想されます。

152円の水準には、相当数のノータッチオプションが設定されているとされるため、この水準を突破すれば、その上に設定されているストップロスを上回り、ドル円は152円台中盤まで上昇する可能性があります。

ただ、足元では輸入物価インフレが懸念されており、財務省はできるだけ早くドル円を押し下げたいと考えていることは間違いないため、153円に差し掛かかったところで介入に踏み切る可能性も考えられます。

152円台で膠着状態となった場合も、財務省が実際に介入に踏み切れるかどうかは未だ不透明であり、市場参加者と金融当局による神経戦は当面の間続くものと思われます。

介入実施なら5円前後下落の可能性も円安は一時的か

Photo Reuters

 

足元のドル円相場には、円買いが強まる材料は殆どないため、為替介入だけが円高を促す唯一の方法となっています。

仮に153円付近で介入するとなれば、複数回の介入により148円程度まで下押しする可能性もあるため、戻り売りに徹することが重要になります。

ただし、152円に突入してもなお膠着状態が継続している場合は、介入が155円台に上昇するまで先延ばしにされる可能性もあります。

いずれにせよ、高値水準ながらも膠着状態が続くという珍しい状況にあることは確かであるため、引き続き判断の難しい相場状況が続きそうです。