バイデン政権が提出し議会が可決した追加経済対策の実施ですでに世帯年収7万5000ドル以下の家庭には一人あたり1400ドルの給付金が続々と振り込まれつつありますが、前回はミレニアル世代がこうした給付金を利用して株式投資の原資として資金を投入したものの、今回は残念ながらそうした動きが加速していないという状況が明らかになりつつあります。

事前予想では少なくとも1500億ドル以上が株式市場に雪崩れ込むと想定されてきたわけですが、どうも今回は雲行きが怪しくなりつつあるようです。

一体何が起きているのでしょうか。

またこれがなにを示唆しているのかが非常に気になるところです。

足元のロビンフッダーは利確で防戦一方の状態

昨年から猛烈な勢力を拡大しているヘッジファンドですらその存在を無視できなくなってきたといわれるいわゆるロビンフッダーですが、ここのところ手持ちの株の利確に集中しているようで、昨年のように次々と株の買い上げの動きを見せていないようです。

一つはここへ来てNASDAQの株価が大きく下落しはじめており、GAFAMといった主要株も変調をきたしていることが影響しているのかもしれませんが、とにかく買うから上がる、上がるから買うといった凄まじい動きは一旦息をひそめはじめているようです。

昨年から新規で株式市場に参入したロビンフッダーたちはこれまでまともに投資をしたことがなく、損をした経験もないと言われてきましたから、株が下げてリアルに損失を食らうということには慣れていないようです。

現状のように株価が下げてひとたび損失を被るとみな一様に出口に殺到して売り急ぐようになるようで、自己流で買い向かえば儲かるというわけではないことに対する認識が急激に高まりを見せている可能性も否定できません。

実はこうした動きはビットコインにも現れ始めているようで、足元ではその価格はまだまだ高いところにありますが、米国個人投資家を中心とした買い上げの動きが完全に一段落しはじめている状況となっているようです。

特に株でもビットコインでもレバレッジをかけて買い向かった向きはそこそこの下落でも大損失を受けることになりますから、相場の下落が新規の市場参加個人投資家に与えた影響は想像以上なのかもしれません。

コロナ禍が長期化してリアルな生活のほうに資金を回す必要が顕在化か

ある金融機関の調査では、今回1400ドルの支給を受けた世帯の人達の多くが借金の返済や子供の学費、生活費などに資金を使っているのが実態のようで、投資よりも現実生活のほうに資金のふり当てを重視しはじめていることがわかります。

実際、すでにコロナ感染拡大から1年以上の期間を経たことで、個人の生活にも昨年と違って大きな変化が訪れていることが影響しているのかもしれません。

今後コロナが終息に向かった場合、さらに個人投資家の動きが変わる可能性もあるだけにここからの投資状況というものには相当な注意が必要になりそうです。

相場はすでに4月に突入しようとしていますが、ここからは株式市場の流れが変わる時期でもあるだけに買えば儲かるといった単純な世界ではなくなりますので、さらに個人投資家の動きに変化がでることもありそうです。

バブル相場の最終局面というのはいつでも個人投資家が大挙して市場に参入して最初はうまく稼ぐのですが、なぜか最後は大きな損失を食らってすべての儲けを失いながら市場から撤退していくものです。

現状ではまだ大暴落が起きているわけではありませんが、NASDAQは明らかに変調をきたしているのは事実で、それが影響を与え始めている可能性は十分に考えられるところです。

足元の米国の個人投資家の動きがそれを示唆するものであるのかどうかは判りませんが、相場の兆候を探るという意味でもここからの米国の個人投資家の動向からは目がはなせない事になりそうです。