2023年は年始が日曜日ということから2日の月曜日を振替休日とする国が多く、国内FX業者は2日から取引を開始するものの実際には欧州勢のごく一部が市場に算入する程度で本格的な動きがでるのは3日からということになりそうです。

為替は受け渡しが年明けになるということで12月29日から1月の取引になっていますが、12月最終週は週初はまだ人が相場に復帰していなかったせいかあまり大きな動きが出るようには見えませんでした。
しかし最終盤になってドル円は意外なレベルまで売込まれて1年の取引を終える形になりました。

ドル円は年末ぎりぎりで下値を模索する動きで終了

Data Tradingview

28日市場参加者が戻り始めたあたりでは上方向を目指すような動きになったドル円は一時134.500円レベルまで上伸しましたが、どうやらこれはたまりにたまったショートポジションを踏みあげてショートカバー気味に上げていった結果であったようで、ショートが無くなるとそれ以上吹き上げることもできず逆に失速し始めるという展開になりました。

とくに最終日の30日は東京タイムで仲値を過ぎればほとんど相場はおしまいという風にみられていましたが、実際にはロンドンタイムからドル円は下がりはじめ、NYタイムのほとんど商いの薄い時間帯にとうとう130.800円というところまで押込まれて131.100円レベルで年の取引を終えています。
週明け、年初初めての取引ではこうした下押しの動きがさらに加速することになるのか、日銀がYCCの金利をいじっても基本的に拡大が続く日米の金利差のほうをとって米債金利に相関するようにドル円が再上昇していくことになるのかに注目が集まります。

昨年の場合には明確な上昇トレンドが確認されたのは2月後半からで、それまではレンジ相場のヨコ展開が結構長く続いた印象がありますが、今年に関してはFRBの利上げは5月までは継続しそうであることは現段階でかなりしっかり確認できていることからFRB関連の材料は出尽くしの状態になったとも言え、逆に日銀が緩和から抜け出すような動きをさらに見せてくるかにも注目が集まりつつあり、市場の判断は上方向も下方向も半々程度の予想になっているのが実情です。
したがって年初の1週間で果たしてドル円がどのような動きをするかをまずチェックするところからトレードを組み立てていく必要がありそうで、例年にもまして重要な週になりそうです。

ユーロドルは上昇基調にはなったが大きな上げには結びつかず

一方ユーロドルは例年のように年末終盤に上昇が期待されましたが、年明けからサッカーワールドカップでの活躍で話題になったクロアチアがユーロ圏で通貨としてのユーロを利用しはじめることからユーロ需要が高まると見られていたものの、たしかに上方向には動きましたが思ったほどのユーロ買いの動きにはならずに取引を終了しており若干肩透かし感が免れませんでした。
逆に年明けになると完璧に反対売買が強まることになり、ここからの買い向かいは危険でむしろ戻り売りのタイミングを計る週になりそうです。

Data Tradingview

ユーロは昨年パリティを割り込むというかなり歴史的な展開になりましたが、1年が終わってみればなんとか1.0700レベルまでは戻してきた状況で、果たしてさらに戻りを試せるのかはもっぱらドルの動き次第ということになってきています。
FRBのインフレ対策の利上げ政策と比較すればECBはまだまだ利上げできる余地があるのは事実ですが、南欧を始めとする経済基盤の弱い国々がそれに耐えられない可能性は高く、果たしてどこまで利上げができるのかがユーロの動きにリニアに反映しそうです。

気になるのは米株の動向 年初に大幅下落ならば為替に与える影響は避けられない

そんな中で年末その動向が非常に注目された米株は結局クリスマス前にサンタクロースラリーが展開されたわけでもなく、クリスマス後から年末の極めて短い時間帯のクリスマスラリーも今年は全くないままにずるずる値を下げて年間の取引を終える形になっています。

毎回ご紹介している2008年のS&P500相場と2022年の相場のアナログチャート分析は年終盤になってますますその形状が似てきており、為替の動きもさることながら年初の1週間は米株の動向にも細心の注意を払う必要がでてきています。
昨年末3800レベルを何とか死守したS&P500がここから3000まで20%以上下落するという事態に陥ればドルも対円、対ユーロで相応に下落を示現する可能性は極めて高く、ドル円でいえば110円台まで下落して昨年の年初レベルまで完全に巻き戻すリスクもあるため相当深刻です。

下落する時には米株との相関性が高まる日経平均も30日の大納会で岸田首相がカネを突いていたあたりでは何とか2万6000円をぎりぎり保っていましたが、その後の先物市場では2万5620円レベルまで既に下落を遂げておりこちらも嫌な予感が高まるところです。
本来年初はスカッと上昇するところからスタートさせたいものですが、リアルな相場はそうは問屋が降ろさないのが実情で市場のセンチメントの変化をしっかり把握する時間帯になりそうです。