いよいよ期末、本邦では年度末となる3月最終週を迎えることになりますが、例年とはどうも一味違う状況が続いています。
ここまでは米国10年債利回りの上昇にリンクするように上昇してきたドル円でしたが、一旦金利が下落してもドル高傾向は後には引かず、そのまま上昇を続けそうな気配になってきています。
週の半ばはすでに4月となりますが、この状況が来月も続くことになるのかどうかに大きな注目があつまります。
実需のレパトリの円転玉が出てこない今年の相場
今年はコロナ禍の影響なのか本邦勢の大玉のレパトリエーションも出ないままに月末を迎えそうで、本来ならば109円中盤から上には相当な実需の輸出勢の売りが並ぶものと思われましたが、先週段階でもその数はかなり限定的です。
むしろ買い遅れの輸入勢の取引が多いのが今年の特徴となっています。
ドル円が110円に迫るレベルであれば輸出勢にとってはかなり有利な筈なのですが、すでにこれまでの円安レベルでかなり為替の手当が済んでしまっているようで肩透かしの状況になっています。
10年近く前は年度末ぎりぎりの3月31日に円転玉の取引きが集中したものですが、最近はそうした動きは見られなくなっていますので、ここまで円買いが出ないということは年度末最後まで大きな動きは示現しないまま新年度入りしそうな状況です。
ファンド勢は積極的に円キャリートレードに専念
一方、米債の利回りが上昇し始めていることもあってヘッジファンド勢は久々に調達コストの安い円キャリートレードに専念し始めており、ドル円が下落すると即座に買いを入れてくる動きが顕在化しています。
これも昨年まではほとんど見られなかった動きですが、ここへ来てドル円の買い向かい需要は相当強くなっていることが窺われます。
またリアルマネーと呼ばれる機関投資家筋もここへきてドル円の買いを強めており、米債の金利上昇に連動した形でドル円の買い需要が非常に強くなってきているようです。
ドル円110円超は時間の問題に見えるが4月以降継続するかに注目
3月第四週のドル円はすでにNYタイムで109.847円レベルまで上伸する動きを見せており、週明けに110円を試すのはもはや時間の問題になりつつあります。
ただ、4月になりますとシーズナルサイクル的にドル円は円高方向に時間をかけて動きやすくなるのが常であり、今年はこうしたサイクル通りに動かないのか、はたまた元に戻ってドル安円高が示現することになるのかが大きな注目点になりそうです。
ユーロドルもドル高の進行に注目
ここまでドルの動いが強くなりますともっとも為替で注目されるのがユーロドルです。
ユーロドルは同じく3月第四週のNYタイムで1.17595レベルまで下落しており、この先ドル高が進めば一気に1.16台まで下落する可能性が高まりを見せています。
ただ、こちらもここから一方的にドル高が進むかどうかはまだよくわからず、シーズナルサイクルから考えればやはり一旦どこかで押し戻されるリスクも高まります。
例年の4月になりますと相場の動きが変わることになりますので、今年の4月相場が果たしてどう推移するかは興味深いです。
週明けはすでに金曜日に米国雇用統計の発表がありますが、欧米圏はイースターでほとんど市場参加者がいない状況ですから週の中盤は手仕舞いになる可能性もあり、薄商いの中でどのような動きが示現するかにも注目が集まるところです。
ここからは事前の相場の方向感の断定ではなく実際の相場の動きをチェックしながらその先の取引についていく姿勢が重要になりそうです。