インドにおける新型コロナウイルス感染がまさに爆発的状況に陥っており、累計のコロナ感染者数は2000万人を突破し、5月に入ってからは1日40万人を超える勢いを続けています。

これに比べれば確かに感染者数や死亡者数は大幅に少ない日本ですが、広範なPCR検査を全く行わずワクチンもまともに供給されない中で大阪などは完全に医療崩壊を起こし、感染しても手立てもなく放置されるといった状況だけみますと、日本もインドの状況とさして変わらぬ危機的なところにあるようで、実は見かけ以上に厳しい状況におかれていることがみえはじめています。

世界的にはすでに主要国を中心にワクチン接種も進み感染はこれ以上猛烈には拡大しない見通しがはっきりしはじめており、米株はNYダウがさらに史上最高値を更新し続けるなど完全にポストコロナを睨む相場展開になっていますが、本邦市場はそれにつられて現象的な相場の上昇はするものの、圧倒的な上昇軌道に乗ることはなく依然としてコロナ感染の拡大が相場の重しとして機能していることがわかります。

Photo NHK

菅政権はゴールデンウイーク明けに解除の予定であった非常事態宣言を5月末まで延長することとなり、強硬開催が危ぶまれている東京五輪も実施不能の状況に陥るリスクが急激に高まりつつあります。

入口管理が出来ないため感染が終息できない状況

先進主要国は米英をはじめとしてイスラエルなどでかなり先行してワクチンの接種が進んでいますが、実は感染の低下はそれだけではなく徹底したPCR検査とともに無症状者の発見、クラスターの徹底検索、入国検疫の厳密化などを並行して行ってはじめて感染率低下にこぎつけているのが実情です。

本邦のように非常事態といった掛け声はかけても実質何もしない、料飲店ばかりに規制をかけるような対策を行っているのは他にない状況にあります。

それだけに非常事態やまん延防止等の対策の延長が続いても景気が疲弊するだけでなんの解決にもならない可能性が高まりつつあります。

本邦感染起因で相場の大幅下落も視野に入れるべき時間帯に

昨年からこれまでのコロナ感染の問題は世界的なものでしたから米国市場がどうなるのかということにそのまま本邦市場もシンクロする動きとなりました。

これからは本邦の感染問題が他国とは全く別の状況へと悪化の道を辿ることになれば当然国内起因で株式相場が下落する、それにあわせてドル円が下落するといった最悪の状況に陥ることも十分に考えておかなくてはならないところに差し掛かっており、米国市場との相関性だけで相場の先行きを推し量るのは危険になりつつあるようです。

五輪強硬開催で変異株感染が国内拡大するのが最大最悪のシナリオ

菅政権は東京五輪は開催まで既に80日を切っており、強硬開催するつもりのようですが、無観客試合となっても選手、関係者、スポンサーを含めると10万人もの人が来日することなり、しかも事前に検疫でウイルス感染を確認できないままに入国することはほぼ間違いない状況で、ウイルスの視点だけから見ますとそれこそ世界の変異株の集結を促す最悪のイベントにもなりかねません。

これまで世界的な視点で大きな問題とされてきた新型コロナ感染ですが、この夏にかけては本邦起因で問題になることが次々と起こりそうで、日本株だけ大幅下落といった最悪の事態も十分に想定しながら取引きをしていく必要がでてきているようです。

経済や金融の視点だけからコロナ禍を語るのはいささか不遜な気がしますが、リアルな相場にあらためて大きな影響をおよぼしはじめているという事実から目をそむけるわけには行かない状況です。