足もとの米国株式市場はすっかりインフレ到来とFRBのテーパリングの時期がいつになるのかに大きな影響を受けるようになっており、ちょっと良好な経済指標が飛び出すたびに先行き悲観論から株価は下落、米債金利は大きく上昇するという相場の繰り返しが起きています。
本来1日や2日で状況が大きく変わるとは思えないのですが、市場のセンチメントの変化がこうした動きを誘発させ市場参加者は日々翻弄される時間を過ごすことになっています。
果たして現実はどうなるのかを皆が気にしているのが実情ですが、新債券の帝王の異名をもつダブルラインキャピタルのジェフリーガンドラックはなかなか興味深い発言をYahooファイナンスで発言しており、かなり注目を浴びています。
これまでもガンドラックの予測は市場全般の見立てとは異なるものが当たってきているだけに非常に市場の関心が高い状況にあります。
米国のインフレは今年7月がピークだがそれ以降も続く可能性を示唆
ジェフリーガンドラックがチーフインベストメントオフィサーを勤めるダブルラインキャピタル社は独自のインフレ予測モデルを保有していますが、同社の予測によれば、ここからインフレは継続して上昇し、7月に一旦ピークを迎えるとしています。
ただし、FRBが何度も口にするいわゆる一過性のインフレが一息つくとしてもその先全く問題のないインフレ水準に収斂する保証はどこにもないとしており、7月以降インフレが継続した場合には市場のリスクはさらに上昇するとも予測している状況です。
また、ガンドラックは足もとの市場においてはNASDAQやビットコインに見られるように以上な過熱感のある投資状況が一旦沈静化しつつあると見ているようです。
これによりコモディティも強気から上昇停止と予想しているようですが、ドルに関しては長期的にはドル安方向に動くとしても年末までは債券金利上昇の影響などから引き続き強く展開することを想定しているようです。
こうした予測が概ね間違いではないとなれば、ここからドル円は簡単に下落することにはならなさそうで、夏に向けて上昇すること、さらに年末に向けても高値をキープする動きとなることを考えておく必要がありそうです。
米国のインフレは確実に進行しておりFRBの一過性という説明が崩れる可能性も
FRBはしきりに足もとのインフレ的傾向があくまで一過性のものであり、早晩元に戻るといった説明を繰り返しています。
ただ、新型コロナ感染の影響であらゆるものの需給が崩れたあとの経済再開基調ではあらゆるものの供給が需要に追い付かないう状況となるため、必然的にインフレ的傾向が強まるのは間違いない状況に陥っています。
これが本当に収まることになるのかどうかは怪しいものがあり、なによりこのコロナ禍で過去の例をみない史上空前のドルのバラまきを行ったわけですから、普通にしていてもインフレが加速する材料はしっかり整っており、FRBが本当にインフレを食い止められるのか、単にテーパリングとさらなる引き締めのほうに舵を切らざるを得なくなる状況に陥るのかはかなり微妙なところにさしかかってきていることがわかります。
FRBの緩和頼みの市場はもはやテーパリングありやなしに非常に大きな影響を受けるようになっており、とくに株式市場は業績市場などとは全く無縁のものになりつつあることが非常に危惧されるところです。
状況次第では今年後半に向けて激しい逆回転の相場が示現することもあるだけにその動きを粒さにチェックしていくことが求められることになりそうです。
米株市場は5月には頻繁に上下動を繰り返しますが、それ以降は10月までは比較的低調な動きを維持することが知られています。
今年もこの動きを示現するかどうかが注目されますが、想定外の変化が出る危険性は相当高そうで、引き続き注意が必要です。