米国では昨年新型コロナウイルスの感染が広がる中で、国や州からの支給金を利用してネットで取引手数料がかからないロビンフッドなどのアプリを利用した株式売買が非常に流行り、市場に参入する個人投資家の数が飛躍的に拡大することとなりました。

ひとりひとりの投資家の投入資金は小さいものの、それがまとまった形で相場を動かすことから今では決して馬鹿にはできない投資勢力となって相場に大きな影響を与えることとなりはじめています。

そんな中で一部の個人投資家はさらに金融投資にスリルをもとめて株から仮想通貨に資金を移す動きが顕在化しており、それが結構大きな問題になろうとしています。

負けを知らない新参者のミレニアル世代は投資にスリルを求める傾向に

個人投資家の相場への関わり方というのはまさに十人十色といった状況ですが、米国のロビンフッダーのような個人投資家はよりボラティリティが高く価格の値幅が大きく投資のスリルが味わえる商品へと資金をシフトし始めている状況で、足もとの仮想通貨の乱高下はこうしたスリルを味わうための投資になりつつあることが非常に危惧されはじめています。

株にせよビットコインにせよ現物を購入して含み損がでた場合にはそのままホールドし続け、いわゆる塩漬け状態にしておけば資金の投資効率は大きく下がりますが、相場全体に与える影響は軽微なものとなります。

しかしこのロビンフッダー達は確実にレバレッジをかけて売買するデリバティブ取引を選択していますので、取引き商品の値が下がれば当然証拠金不足をきたすことになり追証を求められることになります。

先般のビットコインの暴落では1日に40%もの価格が変動していますから買っても売ってもどちらも証拠金不足に見舞われることになり多くの若者が追証を求められる状況に陥ってしまたようです。

こうなると資金を工面するためにほかの利益が出ている商品まで売り飛ばすことになりますから、最近の金融市場における特定商品起因の暴落はほかの資本市場にいとも簡単に影響を与えることになってしまうようです。

こうした状況はミンスキーモーメントと呼ばれ、過去の相場でも何度となく同様の状況を示現して市場全体に多大な影響を与えることになっているのが実情です。

このようなスリルを味わうためにボラティリティの高い商品にレバレッジをかけて売買するといった行為は危険なものとなり、個人の自由の問題であるとは言い難いところにさしかかっていることがわかります。

やがて個人投資家が相場暴落の引き金を引く瞬間が到来する可能性も

今のところこうしたギャンブル志向の強い米国の個人投資家のトレード姿勢が相場全体をおかしくするところまでの影響は出ていませんが、このような発想が当たり前とする向きがさらに増え市場のマジョリティとなった場合には相場に与える影響ははかりしれず、個人投資家の博打のようなトレードが最終的に相場の大暴落の引き金になるリスクも十分にあり得る状況です。

昔から金融市場で投資を行う人たちはいかに金融投資を博打のようにしないかを最大のポイントとして相場分析や投資行動を行ってきていますが、そこに博打であるという概念から参入する個人投資家が大挙して相場に押し寄せる状況はあまり感心できないものがあります。

こうした意向というのはあくまで個人個人が心の中で抱いているセンチメントですから闇雲に抑止させる方法があるわけでもなく、結果としてビットコインをはじめとする仮想通貨は今もボラティリティの高いリスク相場を延々と継続中です。

まじめに投資を考える個人投資家にとって出来る方法があるとすればボラティリティの高い高リスク商品の取引きは行わないことぐらいしかないのが実情です。

もともと新型コロナの給付金というのはいわゆるあぶく銭のようなものですから損をすることにも抵抗がないのが米国のミレニアル世代のようですが、こうした発想が相場全体に大きな影響を与える時代が到来するとは夢にも思わなかったものです。

それがまさに現実のものになろうとしている点は驚くしかない状況です。