ついにお盆ウイークに突入し、通常とは異なる相場状況になるので充分に注意しましょう。

輸出を始めとする実需筋は、9日から週明けの16日までドル円を軸にかなりのリーブオーダーを置くので、余程強い買上げ勢力がいない限り111円台を上抜けるような動きになることはほとんどなくなります。

一方輸入の実需勢は業界慣習的に下値にリーブオーダーを置くことは少なく、よほど離れたところに設定するならば別ですが、投機筋が買い上げたポジションをリカクしていくとあっさり相場が元に戻る可能性もあり、ドル円の買いに着いて行くのは相当危険な時間帯になるでしょう。

また米債の利金(利払い)の支払いが15日に行われますが、これに先駆けて円転金額部分をドル売り円買いする、という売り切り玉も市場に多く出てくる可能性があり、全般的にドル円は円高にシフトしやすくなるのであらかじめ注意する必要があります。

ドル円は大幅反転下落に要注意

ドル円4時間足推移

7日に発表された米国の雇用統計が市場の事前予測より良かったことからテーパリングの早期観測が出ており、ジャクソンホールで何らかの発表があるのではないかと言った先走りの見方も相場を駆け抜け始めています。

しかしこのコラムでもお伝えしているように、2022年2月以降ブレーナードFRB理事が次期議長に就任することが決まれば、テーパリングの議論は大幅に先送りされることは間違いなさそうで、この雇用統計の結果だけからドル円をドル買いするのはあまりオススメしません。

週明けも上昇と見る向きがいるのは事実ですが、投機筋の買いが収まれば先週上昇した分をそのまま巻き戻す可能性もあるので相当な注意が必要です。

さらに110円を超えたレベルにはオプションも設定されており、簡単には上方向に動けない材料がたくさんあります。

7月23日につけた110.594円を大幅に上抜けしない限り、下目線の相場を考えた方がいいでしょう。

お盆明けは再度上を試す可能性も残されていますが、この1週間はかなり慎重な取引を心がけることが重要です。

テクニカル的には108円台中盤まで反転下落した場合、完全に三尊天井を形成しネックライン割れでまさかの107円台ということも考えられ、この時期の取引としては相当な柔軟性を求められます。

トルコ中央銀行の政策決定にも注意

トルコリラ円1時間足推移

市場参加者が少ないこの時期にトルコ中央銀行が政策決定を12日に発表しますが、エルドアン大統領がまた利下げを要求し政策決定後に議長解任と言う話が出回ると、一気にトルコリラ売りのリスクが高まります。

投機筋は日本の個人投資家がトルコリラ円を大量にロングでホールドしていることをよく分かっているので、仕掛け売りが炸裂した場合ドル円も巻き込んだ大幅下落になるリスクもあり、こちらにも注意が必要になるでしょう。

2019年のお正月にもトルコリラ円が原因でドル円が大幅なフラッシュクラッシュに見舞われたので、政策発表とその後の時間帯はトルコリラ円の買いだけでなくドル円の買い向かいも相当なリスクに直面することになり、かなりタイトなストップロスをあらかじめ置いておくなど、万全の対策が必要です。

市場では例年このお盆シーズンに日本勢が集中して休みをとっており、多くの投機筋やアルゴリズム、AIは相場が空いていることを事前に理解した上で相場に参加してくるので、よほどリスク管理をした取引ができないと大きな損失に見舞われてしまうかもしれません。

十分にご注意ください。