年初から先行してワクチン接種を始めた米国や英国は5月あたりまでかなりの抑止効果が発揮され、新型コロナはすでに市場から消滅するほど相場に影響を与えないテーマになるかに思えました。
しかし7月以降各国でデルタ株の感染が拡大しており、一部の既存ワクチンでは接種しても感染すると言われデルタ株の感染を抑止できない現実が顕在化しつつあります。
既存のワクチンでは通常の300倍の威力があると言われるデルタ株の感染が抑止できず、重症化しないとはいえ感染者は驚くほど増加しつつあり、再度経済封鎖などによる措置を取ると経済は停滞します。
株や為替も相当大きな影響を受ける危険性があり、相場は2020年3月以来の大幅下落も視野に入れておくと良いでしょう。
日本では感染者の90%がデルタ株と呼ばれる変異株に感染していると言われていて、感染者数や累積の死者数はすでに東日本大震災を超える大惨事になるかもしれません。
現実の感染状況はかなり悪化している
コロナとワクチンの問題は常に現在進行形で事態が変動しており事実を正確に把握するのが難しくなっています。
各国政府ともにワクチン接種で対策を一段落させたいと言う強い意志があり、最新の正確な事実がなかなか公表されないという難しさも伴いそうですが、日本のように医療崩壊ということになればワクチンに依存した対策実施には限界が訪れそうな状況です。
ニュージーランドでは感染の兆候を察知して早速ロックダウンを実施していますが、日本は法的な問題を理由にロックダウン的な都市封鎖はできないまま状況は悪化しています。
ただ他国では感染拡大がこのまま進めば再度ロックダウンが実施される可能性は強く、2020年3月あたりの段階に逆戻りするリスクもあります。
新型コロナは最初には大きなインパクトがありましたがその後相場に大きな影響を与えなくなってからすでに1年半近くが経過しているので、今更そんなことは関係ないと考える市場参加者も多いですが、ここからは注意しなければいけないかもしれません。
コロナ禍でも延々史上最高値を更新する米株のチャートを見てみると、すでにコロナ感染のリスクを感じなくなっていますが、主要国の経済成長は国民の消費によってその6割7割が支えられているので国民が広くデルタ株、ラムダ株に感染すると経済成長は見込めません。
やはり成長鈍化やマイナス成長を意識する必要があるでしょう。
アルゴ、AIがこのテーマで大きく動けば相当な相場下落示現も
株式相場や為替相場では日常的にアルゴリズムやAIが稼働して相場を動かしていますが、人が裁量取引で感じるテーマやリスクなどをアルゴリズムやAIが同じような感応度で対応していないと感じることはよくあります。
2020年3月の大暴落もアジア圏では先行して危機的状況が展開しましたが、アルゴやAIが問題視したのは米国での感染が爆発してからで、人の視点とはタイムラグが起きやすいです。
足もとでは依然として新型コロナが相場の大きなテーマやドライバーにはなっていませんが、いきなりセンチメントが変わるリスクについても相当注意をする必要があるでしょう。
コロナ禍で株式市場が他の情報をすべて無視して史上最高値を更新し続けるというのは少し違和感がありますが、それが修正された時は大幅下落に繋がる危険性を忘れないようにしなくてはなりません。
現状のデルタ株の感染拡大はインターネットで相場取引をしているとリスクだと感じませんが、現実社会では相場にプラスの影響を与えるものではないということをしっかり認識しておきたいところです。