10月8日に発表された米国雇用統計はこのコラムでもすでに触れておりますようにNFPの数字が市場予測の平均から大きく下落したものの過去の平均値はそれほど悪いものではなく、さらに失業率が4.9%に下落したこともあってドル円は大きな下落にはならず、むしろ米債金利の上昇を後ろ盾にして112円台に上伸して相場を終えています。

当然週明けについてもさらに上値を狙う動きを多くの市場参加者が意識しているようで、昨年2月新型コロナの暴落直前につけた112.400円台を上抜けた場合には114円台までこれといった節目がないこともあり、ここからどこまで上方向を試すことができるのかが大きな注目点になりそうです。

雇用統計の結果を受けて11月のFOMCではテーパリングの開始が決定されることを相場は織り込み始めていますので、売り浴びせを仕掛けている投機筋の力もあって米債金利はさらに上昇しそうな気配となってきています。

10月に入ってドルキャリートレードの巻き戻しや米債金利上昇に伴う新興国債券投資からの資金の引上げ、ファンド勢の解約に絡む45日ルールの適用からチャートに現れない水面下でかなりドル需要が旺盛に動いているのが実態で、チャートでは上にも下にも行きそうではありますがそう簡単には下がらない可能性も出始めています。

相場のことなので絶対ではありませんが、10月相場はこの流れがどうなるのか注目が集まります。

ドル円はアノマリーを超えてこのまま上昇できるかに注目

ドル円は過去20年の動きの平均を見てみると、10月は後半に向けて下げ気味でちょうどハロウィンの辺りで底を打って年末に向けて反転上昇するケースが多いですが、今年に関しては11月FOMCでのテーパリング決定が濃厚であることから米10年債金利が再上昇しはじめており、この動きはここ数日では収束しなさそうな雰囲気です。

恐らく1.6%台を抜けてそれ以上に上昇する可能性もあり意外なタイミングで114円台まで到達してしまうことも十分に考えられる状況になっています。

このまま押し目を作らずに上昇するのか、例年の動きにならって一定の下落を示現するのかどうかが非常に大きな注目ポイントになりそうです。

ただ、米債金利も大幅上昇でドル高も示現した場合、どこかでバイデン政権が慌てて2008年のオバマの時のように極めて政治的にドル安政策を打ち出してくる危険性は十分にあり、上値がどこかで制限されるリスクはありそうです。

また114円台は3年ぶりの水準となるので、日本の輸出勢が売り玉をだしてくることは容易に予想されますが、チャートほどドル円の上値余地がないこともあらかじめ理解しておきましょう。

ドル円4時間足推移

ユーロドルはさらなる下押しに注意

一方ユーロドルのほうは雇用統計発表前に1.15を下抜けしかねないほどの下落となりましたが、NFPの数字が良くなかったことで買い戻されて週の取引を終えています。

オプションの設定が下値をさらに加速させるのを阻止したのではないかといった見方もありますが、例年この時期ユーロドルは下落しやすく逆に11月後半から年末までは実需の需給も絡んで猛烈に上昇するタイミングを迎えることになります。

勿論今年もその通りに動くかどうかはわかりませんが、10月についてはさらに下値を模索する可能性がありそうです。

1.15を割り込んだ場合当面の下値は1.145あたりが予想されますが、それを下回った場合1.14割れも意識する必要があります。

ユーロドル4時間足推移

例年10月末は絶好の買い場

為替相場は毎年様々な材料が市場に飛び出して状況は年によって大きく変わるものですが、ユーロドルやドル円といった取引量の多い通貨については実需が持ち出してくる季節性の高いタマも当然あり、とくに年末に向けては海外が年度末に繋がることもあるので大きく上昇する通貨ペアが増えることは間違いありません。

ドル円、ユーロドル、豪ドル円、NZドル円あたりが10月後半から11月にかけて底をつけては反転して12月の中盤に向けて上昇することが非常に多いため、この時間帯で下落した相場を拾って買い向かっておくと大きな利益を獲得するトレードになることを意識しておきましょう。

10月に入ってから各資本市場は取引量が増え始めており、投機筋もこの時期にしっかり稼ごうとしていることが窺われます。

それだけに他人の仕掛け売買にうっかり引っかかることがないように相当注意深くトレードしてくことが求められる一週間となりそうです。