市場はすでに米欧日の中央銀行政策決定の結果待ちでほとんど動いておらず、それぞれの結果を受けて応分の上下動を示現するであろうことは容易に想像できるものがありますが、この集中的な主要中銀の政策決定会合の結果を通過してから果たして8月相場がどうなっていくいくのかが大きな注目点として浮上しはじめています。

異常に楽観的な米株相場

欧州市場はここへきて景気後退感がはっきり経済指標に出始めており、金融市場の先行きにはいきなり不透明感が高まりつつありますが、米株市場は依然強気で市場全体にかつてないほどの楽観的雰囲気が支配し始めています。

Data CNN

ご覧いただいているのはこのコラムでも過去にもご紹介したCNNの恐怖と欲望指数ですが、7月に入ってここ数週間は80を超えるほど市場は楽観的で若干押し返されているものの足元でも81を維持している状況です。
過去にもこうした楽観相場の状況が続きますと市場参加者は全くリスクの発生を意識していないため不意打ちのような不測の事態に見舞われると激しい暴落に直面することがあり現状は相当注意が必要なところにさしかかっていることがわかります。

米株市場の場合大統領選挙年の前年は年間を通じて強く展開するというアノマリーがあり、実際過去の選挙前年は相当強含みの展開を示現しているので、多くの参加者が安心しきっているようにも見えます。
ただし8月相場は初旬から中旬にかけて調整しやすい時期であることは過去20年のシーズナルサイクルでもはっきり現れており、中銀政策決定ウイークを通過して8月に突入する相場がこのまま強含んで夏休みを経過していくかどうかはわからないのが現実的な見通しとなります。

NYダウもS&P500も8月初旬の調整に注意

過去20年のシーズナルサイクルで見るとNYダウもS&P500も、どれだけ相場の調子が良くても8月初旬はそれなりの調整局面に見舞われることがよく知られています。

NYダウのシーズナルサイクル Data EquityClock.com
S&P500のシーズナルサイクル Data EquityClock.com

今年の米株相場は例年にも増してどの市場も強い展開になっているのはご存じの通りですが、それでも市場参加者が減る8月の夏休み相場は買いが続かず中盤まで下落し、後半から再度上昇することが非常に多くなっています。
もちろん今年の夏相場がそれを全くトレースするような動きになるかどうかはわかりませんが、全く楽観視していると思わぬ落とし穴に突き落とされるリスクを考えておく必要があります。

ただ下げるといっても1%程度が最大幅となるため大暴落ということにはなりませんが、現状の価格は以前に比べてかなり高く推移しているため下落幅が1%でも下落の実額は相当大きなものになるだけに決して馬鹿にはできません。

Data EquityClock.com

こうした株式相場の8月弱含み状態は日経平均にも見られることで最近ではNYダウと日経平均の相関性はかなり低くなっていますが、米株の影響を受けるかどうかを別にしても、自律的に8月日経平均相場は前半からお盆休みに向けて弱含むことは広く認識されています。

株式だけでなく為替もそれなりに弱含む8月相場

株式相場が8月初旬に調整リスクが高まるとなると気になるのは為替市場の問題ですが、こちらもやはりそれなりの調整リスクが発生することは過去20年のシーズナルサイクルから見ていると予想できるものがあります。

ドル円シーズナルサイクル

まずドル円に関してみると8月は初旬にドル高であっても後半は円高に進みやすく、お盆休みを超えてはじめてドルが買い戻される動きとなるのが基本となっています。(このチャートでは上方向が円高となります。)
お盆休みには仕掛け売りで大きく下がるといったケースが過去に見られましたが、そうした特異な動きが示現しなくても8月は下落しやすいのがドル円の特徴です。

豪ドルシーズナルサイクル

夏場の8月に弱含む常連通貨としてあげられるのが豪ドルで、ニュージーランドドル円とともに8月はほかの通貨に比べてもっとも弱含むことが知られています。
これは二つの通貨が南半球に位置しており、季節的なものが影響しているのではないかと見られていますが、その理由は依然はっきりしません。

このように市場と商品によって8月相場の動きはまちまちになりますが、総じて初旬に弱含む可能性があることは十分に意識して臨みたい時間帯といえそうです。
まさかの事態の時には証拠金を守るためにしっかりストップロスを置いておいたり、夏休み期間中に入るならポジションをあらかじめ整理しておくといったごく当たり前の対応がワークすることになります。
8月相場には引き続き十分な注意を払うことが重要です。