いよいよ2022年の相場がスタートします。

昨年の相場も決して簡単ではありませんでしたが2022年はさらに難しいテーマをこなしていくことが必要となります。

それがインフレの問題です。

2021年9月ごろから米国FOMCでもインフレの問題が取り上げられはじめ、これが一時的なのか常態的なものになるのかについて外部のエコノミストを含めて議論が行われたのは記憶に新しいところですが、2022年2月以降のFRB議長再任が決定してから突然パウエル議長はそれまで一時的だと繰り返していた内容とは反対にインフレはもはや一時的ではないとしてテーパリングを加速し、2022年には利上げを示唆する発言を繰り出しています。

3月までにテーパリングが終了すればその後は利上げがいつ、何回まで実施されるのかが大きな注目点となりますが、2008年のリーマンショック以降すでに何度も金融緩和から出口戦略に向かおうとし、さらに利上げを行おうとしては市場のかんしゃく(テーパータントラム)に阻まれて、結局出口にたどりつけない状況を繰り返しているだけに本当に今回FRBが利上げにまで辿り着けるのかが大きな問題になりそうです。

現状では市場はすでに年内3回の利上げを織り込み済みですが、本格的なインフレが進行した場合その程度の利上げで果たして済むのかどうかも大きな問題になりかねず、2022年インフレは金融市場のかなり大きなテーマとして機能していくことが予想されます。

一般的にインフレ局面ではどうしても株価が下落する方向に動きますし、過去13年余りで市場に溢れかえった資金はテーパリングが終了してもすぐには回収されないので、株価が本当に下落するのかどうかも見極める必要が出てきます。

日銀はすでにステルステーパリング完了の2021年

年末大納会だった昨日日経平均は、予想どおりぱっとしない展開で28,791.71円で今年の取引を終えることとなりました。

外人投資家がかなり投資意欲を減退させてしまった日本株市場は、4月の妙なセグメント分け実施でさらにその魅力を失いかねない状況になっていますが、そんな中で内外のメディアが日銀のETF買いが2021年事実上停止で実はFRBよりも先行してステルステーパリングを完結させてしまったのではないか、という指摘を始めています。

ブルームバーグの報道によれば、同社が集計した日銀の2021年のETF買い入れ額は合計8734億円となり、一昨年7兆1366億円もの買い入れを行い人工値付け相場を最大級にしたことと比較すればその買い入れ額は9分の1に縮減し、特に今年後半はほとんど買い入れておらず事実上ステルステーパリングが完結してしまったように見えています。

もちろんここから相場が大暴落すれば同じスキームで買い支えにでてくることも考えられますが、昨年の買い入れ実績はアベノミクススタート時、日銀が量的緩和を開始する前の2012年の6397億円以来の低水準なので、事実上アベノミクスのETF買い入れ人工値付け相場は終了したと見るのもやむを得ない状況です。

こうなるとテーパリング終了後の資産縮小が問題になりますが、過去9年近く日銀が買い集めたETFをどう処理していくのかが今年以降かなり注目されることになりそうです。

米国FRBのテーパリングや利上げの話題に翻弄された2021年後半の相場でしたが、気がつけば日銀のほうが先にテーパリング終了という落ちがついた年末相場となってしまいました。

本邦もインフレ到来で利上げとなれば相場は大きく荒れる可能性大

ここから本邦経済でもインフレが加速し日銀も利上げを実施せざるを得なくなると、これまでのように青天井でJGBを引きうける事実上の財政ファイナンススキームを継続することもできなくなり、アベノミクスは株式人工値付け相場の終わりともに金融抑圧と財政ファイナンスのセットも終わり、残るは経済指標の改ざん捏造だけということになります。

過去30年一切利上げを行わなかった日銀がインフレ対応から他国に揃える形で利上げをせざるを得なくなった場合、日本株の下落とともにドル円も円高に進む可能性は十分に考えられ、国内金融市場もインフレの到来にかなり注意すべき時間帯に突入することになりそうです。

年明けといってもたった数日で相場のセンチメントがそんなに大きく変わるのかという疑問はありますが、年が明けた途端に劇的に状況が変化するというのは金融市場では良くある話なので、十分に注視することが必要です。