米国からロシアのウクライナ侵攻の可能性が先週末2月12日に出されたときからある程度覚悟はしていましたが、週明けの相場はとくに為替を中心にして相場の乱高下が止まらない状況が続いています。

冷静に考えてみると個人投資家にFX投資の普及が進んだのは2004年あたりからですが、今回のような大規模な地域紛争に直面したケースはないだけにその都度ニュースのヘッドラインに登場するウクライナ情勢に日々相場が降ろされることになってしまっており、個人投資家も完全にそれに巻き込まれていることがわかります。

直近では2月16日にロシアがウクライナに侵攻するといった報道が米系メディアから複数出ていますが、米国政府が煽っている説もあれば当のロシア自体がかく乱をはかるためにあえてそうした偽情報を流しているという説もあり、いつまでこの状況が続くことになるのかいまだに分かりません。

ここで何もないということになれば一旦ドル円を含めて下落した通貨ペアの買戻しが進みそうな状況です。

ドル円は当分116円台には戻れないか

ドル円はウクライナ騒動が起きてからというもの、すでに116円台には戻れないまま悪い報道がでると115円に接近する動きになっています。

本来であれば114円台に突っ込んでもおかしくはありませんが、下値にはそれなりに大きな買いも潜んでいるようで今のところ劇的な下落は免れている状況です。

ただ、全体としてあまりにも相場の下落を予想してショートのポジションが積みあがることから、猛烈なショートカバーでほとんどの売りポジションが踏みあげられることも起きており、トレードは想像以上に難しくなってきています。

すでに月曜日の取引ではこうした踏み上げ相場も出現していますが、その後すぐに下落に転じているだけに細かく損切していたのでは証拠金がいくらあっても足りない状況が続いているのが現状です。

ドル円1時間足

ユーロ円、ポンド円、豪ドル円などもほぼこれと似たような動きをしていますが、本格的な戦闘がはじまるとどうなるのかも気になるところです。

2014年3月のロシアのクリミア併合ではその地域の住民がロシアへの併合を望んだことから本格的な戦闘などは起こらずに併合が実現したので今回のケースとはかなり異なりりますが、経済制裁とその報復合戦へとエスカレートした場合にはそう簡単に相場が戻らないことも想定され、先行きを占うのはかなり難しい局面に入りそうです。

並行する米国FRBの利上げネタで相場は一層難しいものに

ウクライナ侵攻についてはそうでなくてもアルゴリズムが毎回報道がでるたびに過剰に反応することから非常にやりにくいものになってきていますが、それとは逆方向に増幅するような形で影響を与えつつあるのが米国の利上げ問題です。

月曜日にはFRBの緊急会議が非公開で招集されいきなり利上げが発表されるのではないかといった憶測が飛び交いましたし、先週末早期利上げを口にしたセントルイス連銀のブラード総裁は再度CNBCに出演してその主張を口にし、これがドル円が大きくショートカバーして吹き上がる材料として機能しています。

こうなると報道次第で上にも下にも動く相場が延々と続くことになり、なかなか手出しのしにくい時間帯が延々と続くことが予想されます。

FOMCは3月16日、日本時間の17日早朝4時に発表なので一旦そこで一息つくことになりそうですが、ウクライナの件はそれまでに落ち着きを取り戻すのかが気になります。

恐らく決定的な事態に陥った場合には為替相場は意外に早い戻りを試すと思いますが、足もとのようなはっきりしない状態が延々と続いた場合は反対にかなりの影響を与えることになるでしょう。

ちなみに2月のドル円のシーズナルサイクルとしては21日あたりに向けて上昇しやすくなり、また3月は決算シーズンでもあることからドル高円安が鮮明になりやすい時期でもあります。

今年はこうした季節性が現れることになるのかどうかにも注目していきたい時間帯です。