2月12日の未明に米国が突然週明けにロシアがウクライナに侵攻する可能性ありといった会見を開いたことから、週明けの相場もウクライナ情勢でアルゴリズムが売ったり買ったりする相場を繰り返し、主要な通貨ペアではまったく方向感を見出すことができないままに一週間の取引を終えることとなりました。

ただ、ドル円などで見ると初動のリスク回避は80銭を超える下落でしたが、その後はリスクオフになっても50銭ほどしか下落せず、逆に戦争回避にむけた動きが報道されるとそれなりに値を戻す動きになってきており、このまま決定的な状況に至らなければ北朝鮮からのミサイルが発射されても誰も気に留めなくなるような飽きが市場に示現する可能性もありそうです。

なによりウクライナのリスクオフで売買をしているのは明確に短期の投機筋なので、買ったものはどこかで買い戻す必要が生じており、驚くほどのリスクオフでの価格下落がでなくなっている点にも気をつける必要がありそうです。

ドル円1時間足推移
ユーロドル1時間足推移

当目はブリンケン、ラブロフ会談が最大の注目点に

先行き不透明感が強まった2月18日にブリンケン米国国務長官とロシアのラブロフ外相が、日程は未定ながら週後半に直接会談を行う旨の報道がでて相場に一定の買戻しが出ています。

少なくとも実施されるまでは大きな戦闘的事象は起きないものと思われますが、なんらかの戦闘回避への道筋ができるのか完全な不発に終わるのかによっては週後半の相場にかなり大きな影響が出るでしょう。

ただ、何が起こっても現状ではウクライナはNATOに加盟しているわけではないのでいきなりロシア対NATO軍、さらに米軍を巻き込んだ地域国際的戦争へといきなり突入することは考えにくく、まずはウクライナ国内で国軍と反政府ロシア系民族軍の戦闘がどのぐらいの規模ではじまるのかに注目が集まり、それにロシアがどのように加担するのかが最も注目されることになりそうです。

ウクライナで大きな戦闘が起きなければ市場のテーマは主要中銀の利上げに集中

ウクライナ問題ですっかり関心がかき消されてしまったかのような状況になっているのが、FRBの利上げ問題とECBがそれにどのように追ってくるかという問題です。

残念ながらウクライナ問題がかなり一過性であるのに対し、インフレに対して主要中銀がどのように対応してくるかはかなり長いレンジでの本質的な問題なので、こちらに市場の関心が再度集中するのは時間の問題とも言えるでしょう。

また3月にさしかかる時期的な問題から来る実需の売買にも十分な注意が必要

テクニカルチャート分析だけで相場の先行きを占う向きは、ドル円が114円台に突っ込めば113円台まで下落することに警鐘を鳴らしているように見せても実際はそうはならないことがほとんどで、逆に上値の目安でもテクニカルアナリストが誇張して見せる相場予想があまり当たりません。

その大きな理由は実需の存在で、彼らはできるだけ安い所でドル円を買いたいと思っており逆に輸出勢はできるだけ高いところで売りたいと思っていますが、ボリンジャーバンドや一目均衡表を見ながら売買するというよりは絶対価格として売買したいレベルをあらかじめ持っています。

そこで買えずに相場が上がればレベルを上げて買い向かって来るし、売りが想定レベルに到達しなければ下げて売ってくるという行動を起こすことから、テクニカルに意識するサポートラインやレジスタスラインとは異なる動きが出てきます。

これはユーロドルでも一定の実需の動きが季節的に見られますが、ドル円がもっとも明らかであり、クロス円は架空通貨なのでドルとユーロと円の関係を見据えることが必要になります。

こうした不確実性要因が多数並ぶ中での相場展開は予想すること自体がかなり難しくなるので、だれか第三者の見立てに依存することなく自在性をもって上方向でも下方向でも売買ができるような体制を整えることが重要です。

結局実需の売買が相場の方向を決めることが多いのもこの季節の特徴であり、シーズナルサイクルにも目をやることが肝要な一週間となりそうです。