先週木曜日あたりからの米株相場をご覧になってきた方はお気づきのとおり、週末から週明けにかけて米株相場が猛烈な上げに転じています。

23日は一旦沈み込む動きをしていますが、それでも回復感は凄まじいものがあります。

実は業界で非公式な政府の裏介入があるのではないかと噂されており、事実かどうかは不明ですが明らかに何かが動いていることに対しては憶測を呼び始めています。

18日のNY市場はトリプルウィッチングとして知られる四半期に一度のオプションの行使期限を迎え、同日には個別銘柄と指数を対象としてオプション、約3兆5000億ドル(約416兆円)相当をこなしたことに加え、S&P500種株価指数を含む指数のリバランスが相当額に達したことから、この動きが数字の上昇になって示現したのではないかといった見方も高まりました。

しかし市場関係者の間では本邦の大手証券会社などもこぞって米株買いに走るという異常な光景を目にすることとなり、なにかが動いているという見方が強まっているわけです。

米国の政権にはPPTプランジプロテクションチームという制度があり、あまりにも相場が暴落した際に大統領の指示により、財務長官がこの関係者を一斉に集めて株買いを要請することがある、と言う制度です。

直近では2018年末、FRBパウエル議長が無理やり利上げを継続しようとしたことに市場が嫌気して大幅な下落を起こしたことがありましたが、この時にもPPTのチームが発動し結果的に米国の年金と相当額の株を買い向かって暴落を阻止した実績があります。

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例年4月末までは米株は上昇しやすい展開

こうした株買い支えの動きが功を奏してか株価は底を打ったとみる向きも俄然多くなっており、この上昇の動きが継続するのかに注目が集まります。

過去20年の相場の状況を見るとSell in Mayという言葉があるように、4月まではS&P500は比較的上げ基調で動くことが多くなりそうですが、NASDAQも4月の半ばに大きく落ち込むことはあるものの5月に向けては比較的堅調な動きとなることが多いことがわかっています。

ただ、米国の中間選挙年の特徴として5月から9月あたりまではあまり動かない状態になりやすく、決して上昇基調にはならない点には注意が必要です。

いよいよ選挙まで3か月を切ったあたりから選挙ラリーが展開することが多くなりそうですが、民主党が負けそうならば選挙ラリーも起きるかはわからず、ここから先の株式相場には相当な不透明感が漂うことが予想されます。

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足元でどんどん支持率が低下中のバイデン政権はこの11月の中間選挙でなんとしても勝たなくてはならず、まだ時間的に余裕はあるもののここで株価を大きく下げるのを放置しておくわけにはいかないという判断が働いた可能性もあり、裏PPTという仕組みがあるのなら一体だれが指揮しているのかについても大きな関心を集めるでしょう。

この時期はファンドの投資先の組み換えなどもかなり積極的に行われるので株式市場は比較的活発な動きになるものですが、こうした陰の力技のような買い支えがいつまでプラスに働くのかはある意味見ものにもなってきています。

人工値付け相場の賞味期限はそう長くない

金融当局が株の水準を操作するというと真っ先に頭に浮かぶのが、日銀による日経平均を個別ETF買いで動かす介入です。

この手の人工値付け相場も当初は存分にワークし日経平均株価は大幅に上昇しましたが、昨年あたりその買い付け金額を減らしたところあきらかに相場は上昇しなくなり、今年に入ってからはもはや3万円すら回復できずに低迷相場を続けている状況です。

大きく下げないという点ではまだ多少は機能していると思われますが、実質インフレ率が恒常的に2%を超えるようになった場合、いつかは量的緩和を終了せざるを得ない場面に直面することは間違いなく、そうした事態で株価が大きく下落を始めたら一体誰が止めるのかも非常に気になります。

本邦ではSMBC日興証券が株価操作で摘発され副社長が逮捕されるという前代未聞の問題が生じていますが、株価操作は金融当局がさらに深く関わって行っているのが日米ですから状況はかなりつらいものがあります。

いずれにしてもどこの国の政権も選挙が近くなると株価の動きを非常に気にするようになるので、想定外の動きがいきなり示現する可能性もあります。

ここからの取引は一層の注意が必要でしょう。