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ECBは、7月に利上げを行うというラガルド総裁のブログでの情報公開を受けて大きく上昇を始めています。

ラガルド総裁はECBのブログにおいて量的緩和策を早期に終える見込みであること、7月の理事会で利上げが可能になること、そして9月末までにマイナス金利政策自体を終えることを示唆し、これを受けてさっそくユーロには買いが集まる状況となっています。

ようやくECBも重い腰をあげてインフレ対策に動くことになったのかという印象ですが、ラガルドのこうした情報公開について市場では非常に大きな懸念の声が聴こえ始めています。

それは今回の内容決定がECB理事会の公表文や理事会後の総裁記者会見で明らかにされたのではなく、ECBホームページ内とはいえブログというきわめて中途半端な形で公表されたことです。
以前から築かれてきた市場との対話に基づく情報開示ではなかったことで、今後市場参加者のECBに対する不信感が急激に高まる危険性もではじめてきています。

そもそもラガルドはECB総裁の適格者なのかという根本的問題も

2019年7月、開催されたEU臨時首脳会議においてフランスのクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事が選任されました。
これがどういう経緯で選任されたのかは今も不明ですが、高い調整能力が買われたのだそうで、最初のうちはいろんなところに配慮する温厚な存在としてそれなりの評価を受けていましたが、その後新型コロナをめぐる金融政策あたりから、だんだんと政策発振の精神的支柱であるレーン理事の請売り程度レベルの低い発言を口にすることになり、単なる広報官的存在であることが広く露見することになってしまいました。

ECB理事会後のラガルド会見では毎回はっきりしない説明が登場するたびにユーロが売られるといった不毛の時間帯が続きましたが、ここへ来てさらにラガルドの不適格論が顕在化しつつあります。

特段経済に詳しくない政治家の世界からIMFの専務理事になったことから考えても、政治的に卓越した動きをする人物なのであろうということが推測されます。

カマラハリス並の経済把握レベルと酷評する投資家も示現

チューリッヒ大学で経済学を専攻し、24歳でPh.Dの学位を取得した稀代の秀才で、87年のブラックマンデーの到来を奇しくも予見したマーク・ファーバー博士は自らのコンテンツ上で、ラガルドは米国の副大統領カマラハリスなみに経済のことがわかっていない人だと指摘していますが、カマラハリスがどれだけ経済に疎いのかは別としても、ラガルドが繰り出す発言には結構驚かされます。

直近ではインフレが欧州圏を侵攻することがあっても、それぞれの国民が購買力を失ってインフレは終息に向かうといった奇妙な言説で、そんなことでインフレが終息するなら苦労はない、そもそもECBはそれで解決がつくなら必要ないではないかといった批判も巻き起こっています。

ECB総裁の独断事前政策示唆で過剰に動く相場の巻き戻しに注意

次回ECB理事会は6月9日になるわけですが、ラガルドが自ら理事会の承認、決定を経ないうちにあらかたの政策を示唆してしまったことから、市場はあきらかにオーバーシュート気味に動いてしまっています。
これで万が一ECB理事会の決定がラガルドの示唆よりも後退するようなことになった場合、激しい反対売買に見舞われることもありそうで、利益がでているのであればECB理事会の前に一旦リカクしておくことが安心になるかもしれません。

そうでなくても各国主要中央銀行の政策決定を巡っては激しく相場が動くので、フォワードガイダンスの徹底など市場との事前対話をもっと重視してほしいところですが、現実の世界はどうやらそういうことにはならないようです。

FRBのパウエル議長も決して経済のプロといった履歴はもっていませんが、それと比べてもラガルド総裁は知見的にみても厳しい状況で、相場に想定外の損失をもたらさないようにしていただきたい状況になってきています。