いよいよ2022年の相場も最後の週を迎えることになります。
今年はカレンダー的にクリスマスも正月も土日にぶつかっていることからFXの相場としては平常営業で特別お休みになるところはありませんが、欧米はクリスマスの25日が休日であることから日曜と重なる部分で振替休日があり、UKなどはクリスマスの翌日のボクシングデーの休みもさらに振替となりますので、28日まではまともにワークしない時間が継続することになります。
また受け渡し上の問題から29日は完全に新年になり、カレンダーイヤーが会計年度となる欧米の金融機関はいよいよ新年度入りという状態で市場に臨むことになります。
したがって週後半あたりからの相場の動きに変化がでることになるのかに非常に注目したい時間となります。
クリスマス前に早くも相場から退場してきた向きが参戦してくる時間帯で、それまでの動きと全く違うトレードが現実のものになる可能性もあり、ピンチとチャンスが同列になりそうな時間帯が続きます。
市場に戻った参加者が改めて日銀の政策決定会合の内容を吟味し始める週
既に皆さまにご案内の通り、12月20日の日銀の政策決定会合で基本政策は変更なしといいながらイールドカーブコントロールのバンドについて2021年3月に修正したプラスマイナス0.25%をプラスマイナス0.5%に引き上げる決定をしています。
市場では国内の47名のアナリストはひとりとしてこれを予想できていなかったので、いかにサプライズ的な展開だったかは良く判るところです。
公式的には戦略的な変更と言っていますが、実態としてはもはや0.25%で無制限買いオペを行っても金利上昇を止めることができないというのが正直なところで、実態としては止む無く上限を上に上げざるを得なかったというのが正しい表現であろうと思われます。
すでに先週段階で日本国債を売り持ちしていたヘッジファンド勢は年末に思わぬ爆益を得たようですが、クリスマス休暇に入っていたファンドマネージャーがこの状況を見てどこまで日本国債を売りこんでくるのか、またドル円で円買いが進むことになるのかが非常に大きなポイントとなりそうです。
日銀の発表以来日本国債10年債はいきなり0.48%近くまで金利が上昇しましたがクリスマスを挟んで一旦下落しており、週明け本格的に海外勢が動き始めてきた時に果たしてどういう動きになるのかが注目されます。
一方米債金利は戻りを試す動きになっていることからドル円もそれなりに値を戻す展開となっています。
ただ現状では週足でも133円にまでは戻れずに週の取引を終えており、週明け市場参加者そろい踏みで再度下値を試す動きとなった場合、130円レベルを下抜ければ128円とか126円といったレベルにまで年内に売りこまれるリスクも残っており、相当注意が必要になりそうです。
とくにここからは円キャリートレードの巻き戻しや本邦機関投資家勢などの海外投資から国内投資へのシフトによるレパトリなどが多く出てくることで投機的なものとは全く別の理由での円高にシフトすることがありえそうで、そうした動きが顕在化するかに注目していきたい状況です。
ユーロドルは期待ほど値を戻さない微妙な状況
一方ユーロドルについては下値は間違いなく切り上げてきているものの、連日の相場は1週間を通じてレンジ相場に終始しており、本当に年末に向けて上値を狙えるのかに大きな注目が集まりそうです。
このコラムでは既にお伝えしているように、ユーロドルは年末に向けて過去20年間確実にドルに対して上昇してきているだけに、今年のようなはっきりしない相場は相当珍しい動きになっています。
また2023年1月にはワールドカップサッカーに出場してかなり話題を呼んだクロアチアがいよいよ通貨としてのユーロ利用国となりますので、間違いなくユーロ買い需要は出るはずなので、ぎりぎりの年末にそうした動きが顕在化するかどうかを見守りたい状況です。
ただ、買いの動きがでても年明け早々逆さまに動くリスクは高まるので、利益がでたら確実にリカクして相場から撤退することが重要になります。
週明けの相場、先週日銀の動きがあったことから多くのプロでも先行きがどうなるか良く判らないという見方が広がっています。
したがって個人投資家としてはあまり方向感を断定せずに相場がどうなるのかをしっかり見極めることで、次の売買を考えていくことが必要になりそうです。
例年言われることですが年度が替わるとそれまでの相場の動きが驚くほど否定されるような動きに転換することがあります。
今年から来年にかけてがそうなるかは誰にも分りませんが、年末のこの1週間の動きで明確な変化が現れた場合にはそれに対応したトレードに変換することが極めて重要な時期になりそうです。