ドル円だけ見ているとドルは依然強い状況が感じられますが、実はドルストレート全体だと弱含みはじめており、通貨ペアごとに状況はかなり異なることがわかります。
その状況を如実に示したのがユーロ円の8年ぶりの上昇で、4月最終週の24日には148円台半ばまで上昇するという驚きの展開となっています。

まず対ドルでユーロが1.10台にのせたことが大きく、ドル円はこの間にドル高円安が進んだため結果的に掛け合わせ通貨のユーロ円が大きく上昇するということになりました。
それにしても8年ぶりの高値と、いかにユーロがぱっとしない相場状況を続けてきたのかがよくわかります。

下のチャートを見ると過去にはユーロ円が高い位置にあったことも見えてきますが、現状では足元の水準でも相当高いところに戻ってきたことが確認できます。
ただし25日にはまた米国の金融システムリスクの問題が再燃したことから、ユーロドルがドル高にシフトしユーロ円も2円近い下落を喫することになっています。

Data Tradingview

クロス円の場合、掛け合わせの合成通貨のためユーロドルが上昇してもドル円が下落すれば必ずしもユーロ円が上昇するわけではないのでその見極めは予想以上に難しくなるものですが、今回については完全に対ドルでユーロが強含み、円安が他通貨で進んだことからこのようなユーロ円の上昇が実現することになりました。

FRBの利上げが一息つけばユーロはさらに上昇しユーロ円もそれについていくか

現状ではFRBの利上げが5月で一旦終了し、その後は逆に利下げの話まで出始めていて、ECBとのコントラストから言えばさらにユーロが上昇することも考えられる状況であり、円の弱含みが続くようならばさらにユーロ円が上昇することも視野に入れる必要がでてきているようです。
ただクロス円に関しては実際にそうなるかどうかは実際の相場が示現してみないとわからない部分もあり、思い込みでの取引には相当な注意が必要になります。
日常的にユーロ円を見て取引されてきた方はこの上昇タイミングで大きな利益を獲得できたと思われますが、ドル円だけを見ているとこうしたことにも気づかないことが多いだけに、常にいくつかの通貨ペアの動きにも注目するくせをつけておくことが重要です。

足元でのドル円は方向感が定まらず米国の経済指標が出る度に上にいったり下にいったりする相場を繰り返しており、トレードしても損を食らう可能性が非常に高く、こういう時期こそユーロ円の取引を考えるべきなのかもしれません。
昨年は驚くほど強いトレンドがでて大きな値幅を示現したドル円でしたが、今年についてはかなり状況が変化しており、取引妙味はかなり減少しています。
日頃トレードし慣れない通貨ペアについては注意深い売買が必要になりますが、現状ではドル円以外の通貨ペアも視野に入れた取引を心がける必要がでてきているようです。

米国FRBの金融政策に変化がでればさらにドルの動きは弱くなる可能性も

足元の相場はとにかく5月のFOMCでFRBが利上げをどうするのか、さらにその先にインフレ対策を続けるのか一旦停止させるのかに大きな注目が集まっていますが、この政策が確定されることになるとドルの方向感もかなりはっきりすることになり、ドル円もゴールデンウイーク後にあらたな動きを示現する可能性がでてきています。
一般的にドル円の場合年間で明確なトレンドがでるのは1回か2回、せいぜい3か月程度が限界で、それ以外の時間は常にレンジ相場がとなるのでここからすぐに取引しやすい相場が示現するとは考えられませんが、ここからはユーロ円をはじめとしたクロス円の動きも常にチェックしながら最も利益をあげられやすい通貨ペアに集中していくことが重要になりそうです。
後からみれば大した話ではないのですが、常に複数通貨ペアの動きに気配りしていると利益チャンスに恵まれることがわかります。