先週、本邦のゴールデンウイークを前にして植田新総裁の下で開催された日銀政策決定会合は本邦勢の大方の予想どおり現状維持となり、10年物国債の金利誘導目標を0%維持、10年物国債金利の変動幅・いわゆるイールドカーブコントロールの上限もプラスマイナス0.5%で据え置いています。
今後金融緩和策を対象に1年から1年半程度かけてレビューを実施するようで、引き続き日本だけが緩和を続けることが決定しました。
それでも何か変更があることを期待してきた海外勢がある程度ドル円の買戻しを行うことでドル円が跳ねることは予想されていましたが、結果的には日本の金利が当分上昇しないと見込んだ海外勢がさらにドル円を買い上げる形になり、同日のNYタイムには136円中盤まで跳ねるといったすさまじい展開になっています。
さすがにここまで上昇するのは予想外の動きですが、果たしてこの流れが週明けも続くことになるのかどうかに大きな注目が集まるところです。
ただ興味深いのは本邦の機関投資家筋が押しなべてYCCの撤廃が半年以内に行われると見ていることで、さすがに本格的な利上げに漕ぎつけることは無理としても金利の上限は微妙に上がる可能性を考えている点も注目されるところとなっています。
日銀会合は現状維持なのに海外勢は金利が動かないとみてドルを買い上げ
米国FRBはこの5月のFOMCでもさらに0.25%の利上げを行うことが市場で広範に織り込まれているため日米の政策金利差は広がる一方の状況ですが、さらに植田総裁はここから1年ないし1年半かけてこれまで行ってきた緩和政策を検証すると気の長い発言をしたことで、日銀は当面YCCの上限改定から利上げまでのプロセスには進まないであろうということが市場で広く織り込まれる形になってしまったようです。
それが136円台にまでドル円を押し上げる最大の要因になったようですが、年初来の動きで見ると3月に137円台をつけており、これを週明け相場で超えられるかが大きな注目点となります。
ユーロ円もドル円に連動する形で爆上げ状態
先週8年ぶりに148円台まで上昇したユーロ円は、ドル円のドル高に加え、ユーロドルでユーロが強含んだことからユーロドルの上昇をはるかに超える形でとうとう150円台まで到達する動きとなりました。
こちらもかなり驚きの状況ですが、週明けドル円がさらに上昇するのであれば上値余地はまだまだありそうで、どこまで上値を試すかが注目されます。
ユーロが強含んでいるのは当然ですが円が明らかに弱含んでいることが非常に気になるところです。
ここから先は過去10年でも上昇したことがない領域で2008年7月につけた168円がターゲットになりそうな状況です。
ただここから18円近く上の話になるので、ECB理事会の利上げ決定とFOMCの結果次第の状況になりそうな気配があります。
ユーロ円のここ2週間ほどの動きは非常に市場の注目を浴びているため市場参加者も増加しており、結果的に相当大きな動きになることも期待したいところです。
週明けは3日FOMC、明けて4日ECB理事会、さらに5日米雇用統計に厳重注意
5月のゴールデンウィークといいますと本邦勢がお休みの間にドル円が円高方向に振れるというイメージが国内では定着していますが、実際に過去10年程度のドル円の相場の動きを見てみると休みの設定の仕方とその間の経済指標次第で相場は結構上下動していることが確認できます。
今週月曜、火曜は通常どおりの相場ですが3日の深夜、日本時間では4日午前3時にはFOMCの結果発表とその後パウエル議長の会見があり、利上げが一息つくのかさらに続くのかに市場の関心が集まります。
今年は投機筋主体でドル円が連休のお休み期間中に大きく売られることは期待しにくい状況ですが、何が起こるかわからないのが相場なので一応注意してトレードすることが望まれます。
また同日の夜9時半には早くもECB理事会の結果発表もあり、米欧の金融政策に大きなコントラストが出るようだとユーロは上昇することになりそうで、ドル円も単純に上昇するのか下落に転じるか、5月相場を占うような展開が期待されるところとなっています。
さらに忙しいのは5日の夜には早くも米国雇用統計の発表があり、FRBの政策の見立てを検証するような指標が発表される点です。
米国の経済指標は雇用が比較的弱い割には個人消費などは盛り返しており、これをFRBがどう判断するのかが大きなポイントとなっています。
少なくとも7月に利下げが始まるという期待は完全に剥落していますが、一旦利上げ停止が示唆された場合、株式相場などへの影響も大きなものになるだけにパウエル議長が同発言するのかに相場の関心が集まるのは間違いありません。
4月の為替相場は総じてどの通貨ペアも方向感を欠いた動きとなり大きなレンジ相場を形成する動きがみられましたが、ここから明確なトレンドがでるのか、はたまたレンジがまだまだ続くことになるのかは市場参加者にとっては大きなポイントで、連休だからと言ってはいられない状況が続きそうです。