いまやオープンAIは市場で話題に事欠かない状況になっていますが、同社のCEOであるサム・アルトマンが共同創業したワールドコインが去る7月24日にとうとう世界の主要取引所に上場を果たしプロジェクトが開始されました。
ただ現時点ではもっとも大きな市場となるはずの北米では上場されていないことからまだまだパイロット版の域をでない状況であることも示唆していますが、ビットコインとは全く異なるコンセプトで上場にこぎつけたこの新仮想通貨が市場に変化をもたらすことになるのかどうかに大きな注目が集まりつつあります。
今のところ1.7ドル弱で上場したこの仮想通貨は3.6ドルまで上昇し、時価総額は28日時点で2億ドル強にまで膨らんでおり順調な滑り出しとなっていることが伺われますが、果たしてこれがそのまま続くことになるのかどうかも気になるところです。
恐らくかなり早い時期に仮想通貨FXの世界でもワールドコインが上場されるであろうことは容易に予測できますが、短期間でどれだけ広がりを見せることができるのかはここからの大きなポイントで、価格形成にも大きな影響を与えるであろうことが予測されています。
ワールドコインのコンセプトはAI視点で独特なもの
ワールドコインのプロジェクトは人工知能の発展に伴い人間とボットの区別がつかなくなる未来に備え、すべての人々がグローバルな経済にアクセスでき、恩恵を受けられるようにするという野心的なビジョンを持っています。
オープンAIのCEOが考えた仮想通貨であるという点も大きな市場の関心を集めています。
これは投機的な商品というよりも実用性に重きを置いており、世界中の人々が参加できるように設計され、その目標は金融システムをより公平かつ透明にすることとされていますが、それを担保するためにどれだけ新しい機能やプロセスが仕込まれているのかが市場の関心事となりつつあります。
プロジェクトの核となっているのはユーザーがボットではなく本物の人間であることを確認するためのワールドIDと呼ばれるアカウントでオーブという名の機器を用いて、目の虹彩をスキャンしたユーザーに付与されることです。
ワールドIDを取得したユーザーは仮想通貨のワールドコインを用いた決済や送金、その他のデジタル資産の購入が可能になります。
ベータ版ではすでに200万人を超えるユーザーが登録を行っており、20カ国の35都市で虹彩のスキャンが利用できるようその設置が進んでいます。
ただ生体認証のプロセスはどうやってもオフラインでのオペレーションとなるため、20億人が登録して利用できるようになるまでには相当な時間が必要となることも危惧されはじめており、これこそが普及の足かせになるという指摘も出始めています。
生体認証は様々な問題をはらむものに
アルトマンとともにワールドコインを立ち上げたアレックス・ブラニアは、AIの時代にはAIと人間を区別することが重要だと述べ、ワールドコインがこの問題に対処するためのプライバシーが守られ、どのような組織にもコントロールできない分散型のアプローチをとることを担保しているのが生体認証プロセスの採用であることを明かしています。
しかしユーザーの身元を確認するために生体データを収集、保存、使用することにともなうプライバシーのリスクにも大きな批判が集まりつつあり、欧州圏ではこの部分にすでに調査が始まっています。
この問題がクリアできていないせいなのか米国で上場が果たされていない点も気になるところで、北米ではさらに大きな問題に発展する可能性がありそうです。
ユーザーのこうしたデータをどのように管理し、不正利用のないものにするかが最大のポイントになるものと思われます。
プライバシー問題が解決したとしてもオンライン上で生体認証プロセスで実現がクリアできるようになれば短時間で飛躍的な登録者を確保できるようになると思われますが、この部分にまだ確固たるソリューションが開発出来ていない点も気になります。
うまく行けばほかのアルトコインから資金が集中して集まる商品になる可能性も
現状では話題だけが先行しまだ海のものとも山のものともよくわからないのがワールドコインの現状ですが、これが軌道に乗りはじめると想定外の大きな時価総額をもった仮想通貨になることも考えられるだけに、早い段階でこれに乗ることが低いリスクで大きな利益にありつく絶好のツールになる可能性があることはしっかり認識しておきたいところです。
ビットコインを含めた仮想通貨は現状では相変わらず実需決済という視点が欠落しており、常に投機的な動きだけが顕在化するのが実情です。
そういう意味ではワールドコインがこの枠組みを打ち破って他にない立ち位置を早期に確立することが期待されるところとなっています。
仮想通貨FX市場でこの商品が上場されるまではまだ時間がかかりそうですが、早い段階で注目していくことが重要です。