9月第三週の為替相場は、9日の読売新聞による植田総裁のインタビューを受け、週明けドル円は大きなギャップダウンからスタートすることになりました。
日本勢はあくまでたらればの話として受け取ったものの、翻訳タイトルの付け方に問題があったのか海外勢はマイナス金利を年末までに解除する意向と読み取り、ドル円はこの件だけで1.9円も円高が進むという異常事態に陥りました。
ただ同日のNYタイムでは、まだ確定事項ではないとの見方から値を戻すこととなり、その後は147円台でもみ合いながら週の後半を推移しました。
木曜の東京タイムは、ドル円相場の値幅が20銭程度の膠着状態を示し、金曜の午後には、ブルームバーグが、植田総裁発言は従来と比べ踏み込んだ内容ではないと日銀内では受け止められているとの日銀関係者による見解を取り上げています。
また、現時点では、7月の金融政策会合における経済・物価情勢や先行きのリスクに関する認識を大きく変えるような材料は出ておらず、引き続き不確実性が高い中で上下双方向のリスクを意識し金融政策を運営していく姿勢にも変化はないと発言しています。
そのため、ドル円は一転して買い戻されることとなり、結局147.800円レベルで週の取引を終えています。
週明けはFOMC、日銀会合次第でドル円さらなる上昇も?期待外れにも注意
すでにドル円相場の148円超は時間の問題と見え、多くの市場参加者がFOMCと日銀会合の結果を受けてさらに上昇することを期待し始めています。
ただ冷静に分析すると、FRBが一旦利上げを停止することを市場はすでに織り込んでおり、ここからさらに利上げを再開する可能性を強調しない限りは、逆に打ち止め感が強まり米債金利も低減してドル円が下落する可能性も残されています。
要は、政策発表後のパウエル会見のニュアンス次第という状況ですが、市場はすでに2024年年明けに利下げになることも期待し始めており、FRBの対応をめぐりドル円がここから大きく上昇するとはなかなか考えにくいものがあります。
また、FOMC前に米国債が調整局面に入ることも考えられ、そうなればドル円も相関してFOMC前に価格調整が起きるリスクもあります。
今週最大の問題になりそうなのは、22日に開催される日銀政策決定会合の結果発表です。
読売に掲載された植田総裁インタビューの影響で、政策発表まではドル円が下押しするリスクもあり、その後買戻しから大きく上昇といういつもながらのシナリオがワークしそうな状況となってきています。
植田総裁がなぜこのタイミングで読売のインタビューに対し、誤解を招きかねない発言をしたのか、その真意は不明ですが、市場に混乱を招いたことは事実であり、今後市場との対話能力の問題を批判される可能性も出始めています。
こうした材料をすべて考慮すると、週明けのドル円相場は押し目があれば買い、上がらなくなったら利確するという単純なトレードを心がけ、149円超や150円到達を前提とした断定的なトレードだけは避けることが重要になりそうです。
このような中銀ウイーク相場は、とかく市場参加者の思惑の方が先行しがちですが、その通りにはなかなかならないのが現実で、あまり前のめりにならずに淡々と相場に取組む姿勢が重要になりそうです。
ユーロドルは明確な下落トレンドで戻り売りか
ユーロドルは、先週のECB理事会で0.25%の利上げが実施されたことにより、一瞬上昇する場面もありました。
しかし、これで利上げ打ち止め感が強くなったことから激しい事実売りに直面することになり、またしてもパリティを意識した展開になりそうな状況です。
一気にパリティ割れまで走るとは考えられませんが、ドルの動きから相応の上下動を伴いながら下値を伺うことになるのは間違いないようなので、迂闊に買い向かうのは禁物です。
ユーロがここまで弱含み展開するとは意外ですが、相対的な位置関係上、金利がこれ以上上がらないとなれば売りに転じることはよくある話で、ここから年末に向けどこまで下落するのかが大きな注目ポイントになりそうです。
全体的に見ると、中銀政策発表ウイークは市場が色めき立つため、相場は事前段階でも動くことが予想されますが、今週に関しては激しいイベントにならない可能性が高く、蓋を開けてみたら大きな推移はなかったという展開も覚悟しておく必要がありそうです。
9月の相場で想定外の損失が出てしまったという方は、なんとか今週のイベントで取り返そうと考えがちですが、短期で焦って取引しないことが肝要な週になりそうです。