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10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区からイスラエルに向けて、大量のロケット弾を発射したとのニュースが飛び込んできました。

さらに武装組織の戦闘員数百名がガザ地区からイスラエル内に侵入し、多数の市民や治安部隊を襲撃し拉致したとのことです。

この一連の襲撃はイスラム組織ハマスによるもので、背後にイラン革命防衛隊が支援していると見られることから、中東情勢は一気に緊迫の度合いを増しています。

イスラエル側も報復として空爆を実施しており、ロイター通信によると死傷者は双方合わせ1500名を越えている模様で、事態のさらなる泥沼化は避けられない状況となっています。

ハマスの背後に存在すると見られるイランは、長年イスラエルと敵対しているため、事実上イスラエルとイランの代理戦争の様相を呈しています。

米国は真っ先にイスラエルを支持する声明を出していますが、イランとサウジアラビアは最近になって国交を回復し2024年1月からはBRICSへの加盟も決めるなど、関係性が大きく変化しつつあるため状況は複雑化しています。

バイデン政権は先月、イランに対し60億ドルの資産凍結解除と引き換えに囚人交換を実現していますが、今回の攻撃はトランプ前大統領がそれを非難した直後に始まっているため、状況次第ではバイデン政権も追い込まれる可能性があります。

ウクライナからNATOの武器横流し問題も浮上

また今回の一件で大きな問題になりつつあるのが、イランの援助でイスラエルを攻撃しているハマスが使用している最新鋭の武器の出どころです。

実はウクライナのブラックマーケットから仕入れているのではないかとの情報が飛び交っており、SNS上ではハマスが武器を並べながらゼレンスキー大統領に対しNATOの武器売却を感謝するという過激な映像が流れ始めている状況です。

真偽の程は定かではありませんが、ウクライナ軍に提供されたはずの武器が他国に転売されているという話は、1年以上前から市場に出回っているのも事実であるため、可能性は否定できない状況です。

実際に使用された武器が、NATOの最新兵器であったり米国から提供された武器であることをイスラエルが確認すれば、西側諸国のウクライナへの支援は全面的に中止になり、イスラエル戦争の問題がウクライナに波及する可能性もあります。

大規模衝突を受けて原油価格は再上昇

9月に大幅上昇したWTI原油価格は、足元では一旦収束するかのように見えましたが、この事態を受けて再上昇に転じています。

原油価格がまた大きく上昇するようなことがあれば、株式市場、為替市場ともに大きな影響を受けることが予想されます。

直近一週間のWTI原油価格の推移

 

上述したように、イランやサウジアラビアを含む多くの中東諸国がBRICSに加盟し足並みを揃えつつある中で、ロシアなどの関与が始まれば、減産や価格上昇など西側諸国にも悪影響が及ぶ可能性もあります。

背景に複雑な歴史があるだけに先読みが困難

米国はイランとの関係改善に乗り出していますが、今回のハマスの蛮行の背後にイランがいることは明確であるため、ここからどのような対応を見せるかが注目されます。

もちろん基本はイスラエル支持ということになるのでしょうが、やり方を間違えると反イスラエル勢力と全面対峙することにもなりかねないため、米国には慎重な対応が求められます。

イスラエルがエジプトとシリアから奇襲を受けたことにより開始された第四次中東戦争から、ちょうど50年の節目を迎えるユダヤ教の祭日に突如開始された今回の襲撃は、市民に大きな衝撃をもたらしています。

ガザ地区は、約230万人のパレスチナ人が暮らす地中海沿いの狭い集落で、今回奇襲攻撃をしたハマスは、2006年1月のパレスチナ立法評議会選挙で過半数を得たのち、2007年6月にガザ地区を制圧しています。

イスラエルとエジプトによりガザ封鎖が強化されて以降、街は野外刑務所と化し一向に揉め事が解決しない状況となっています。

イスラエルと中東諸国が絡む問題は非常に根が深く、外部の人間には理解し難い材料も多いだけに先読みは困難です。

我々がすべきことは、情勢を見極めうまくリスクを回避することであり、状況次第では一旦相場から退場して様子を見ることも必要になりそうな状況となっています。