11月の第3週は、米消費者物価指数(CPI)の結果発表を皮切りに、ドル円を中心とした為替相場で想定を上回る上下動が展開されました。

感謝祭を控えるこの時期は、大手の米系ヘッジファンドの決済シーズンにあたり、すでに多くのファンドマネージャーが市場から撤退しており、市場参加者が想像以上に少ない状況であったことが理由のひとつと考えられます。

そこにAIアルゴリズムを多用する短期投機筋が相場を荒しているという見方も強まっています。

先週火曜まで152円を睨み上昇基調を続けていたドル円は、消費者物価指数(CPI)の結果が市場の予想を下回ったことをきっかけに、1.5円程度下落したものの、水曜の生産者物価指数(PPI)と小売売上高の結果を受け上昇しほぼ全値戻しという状況となりました。

ここまではインフレ指標の結果に伴う上下動でしたが、木曜に発表された1週間の新規失業保険申請者件数が悪化したのをきっかけに下落し、翌日の金曜は何の材料も出ないまま上値の重さを確認した直後に猛烈な売りに見舞われました。

この激しい売りは、ニューヨークカットにオプションが満期を迎える午前0時にはピタリと止まっているため、どうやら150円近辺にあったドルのプットオプションを利用したガンマプレーであったようです。

 

Data Tradingview 先週一週間のドル円の動き 

感謝祭前の閑散相場で短期投機筋による売り仕掛けが成功

直近の米債金利の上昇と下落は過去に例を見ないほどの金利幅となっており、今までならほとんど動かなかったような指標も敏感に反応し、強い相関性を持つドル円にまで影響が及んでいます。

今週、最も市場参加者を驚かせたのは木曜日のニューヨークタイムで、経済指数発表での大きな変動は想定しておらず当然相場のセンチメントも継続と思われたものの、週間新規失業保険申請者件数が発表されると相場は猛烈な売りに見舞われました。

一見この結果発表をきっかけに下げが始まっているように見えますが、実際は故意に相場を下げようとする短期の投機筋の仕掛けであった可能性が高いと見られています。

151円台に戻ったものの上値の重い展開になっていたドル円は、これ見よがしの売り浴びせにあい、150.360円レベルまで下落することになります。

金曜の東京タイムは依然として上値の重い状況が続き、その後は日本時間の午後4時にロンドン勢が市場に登場するタイミングからニューヨークタイムの始まりまで、ドル円は150.665円から149.214円まで一気に値を落とす展開となりました。

後付けの相場説明報道では、感謝祭を前にしたポジション調整とされていますが、実際150.250円にあるとされたドル円のプットオプションを利用した激しいガンマプレーが実行されたとの見方が強まっています。

オプション見合いでドル売りをした投機筋と見られる向きは、ロングのストップロスを次々誘発させることで何の材料もないまま相場を1.4円近く下落させることに成功しています。

先週のドル円相場に関わったトレーダーの中には、火曜から始まった上下動の激しい相場の中で損切を余儀なくされた方も多かったことと思います。

ドル相場は週前半に方向感が戻るかどうかに注目

今週は23日に感謝祭、24日はブラックフライデーを控えており、22日から週明けの27日まで休暇をとる市場参加者も多いため、クリスマスシーズンほどではありませんが、ニューヨーク時間の相場はほとんど動かなくなることが予想されます。

実質的に相場がワークするのは、22日のロンドンフィキシングあたりまでとなるため、それまでにドル相場が一定の方向感を取り戻すことができるのかに注目が集まっています。

テクニカル的に見ると、149.500円を下抜けさらに下方向を目ざすことが想定されますが、これは短期投機筋の仕掛け売りにより無理やり下げさせられたものであるため、トレンドとして機能するとは考えにくく、月末や年末の実需の需給を考えると再度上昇方向に動く可能性もあります。

もちろんここからすぐに152円台を目指すとは思えませんが、ドル円において下落トレンドとなれば長期売り持ちのスワップ負担が大きくなることは意識しておきたいところです。

ユーロドルは今後も戻し続くかが大きなポイント

先週一週間のユーロドルの動き

 

先週のユーロドルは、ドルが弱含んだことから上伸し8月末以来、2か月半ぶりの高値となる1.0896をつけて週の取引きを終えています。

そもそも年末に向かうこのシーズンは、実需ベースでユーロが対ドルで強含む時期でもあるため、週明けもさらに上値を試す可能性があります。

ただしこの上昇は、ユーロが強いために示現しているものではないため、ドル円の動きによってはあっさり1.0700辺りまで下落する可能性も予め覚悟しておきたいところです。

 

先週一週間のユーロ円動き

 

ここのところクロス円、とりわけユーロ円は160円を超えの高調子となっていましたが、ドル円の調子に釣られ下落する場面も見られました。

感謝祭を前に相場には理解しづらい動きが示現していますが、市場関係者によるとAI実装のアルゴリズムによる無休の短期売買が増えており、このようなトレードを行う短期ファンドは手数を増やしても利益につながらないといった残念な話もあります。

週明けは半ば以降、閑散相場となりそうですが、相場の動意理由がわからない時は一旦静観することが重要な時期です。

先週出た損失は、一刻も早くとりかえしたいという焦りが出がちな時ですが、今週は冷静な対応が求められる1週間となりそうです。