トランプ氏が大統領選挙の予備選で圧倒的な勝利を収めていることから、日本国内では「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」ならぬ「もしトラ(もしもトランプ氏が大統領に返り咲いたら)」が話題になり始めています。

今年11月に開催される米国大統領選挙は、表層的な問題もさる事ながら、随所で陰謀論が渦巻く展開となっています。

今後この状況はさらに加速することが予想されますが、外側からこの大統領選をウォッチする我々としては、何が事実でまた何が虚構なのかを正確に見極める力が試されそうです。

バイデン大統領が民主党最終大統領候補となるか、注目の予備選挙

前回のスーパーチューズデーでのバイデン大統領

 

スーパーチューズデーにあたる3月5日は、アラバマ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、コロラド州、メーン州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、バーモント州、バージニア州、米領サモア、アイオワ州(民主党)、アラスカ州(共和党)で予備選挙が開催されます。

この結果次第では、民主党陣営が最終的にバイデン大統領を候補者とするのを取りやめ、急遽新しい候補者を打ち立てるのではないかとの憶測が飛び交っています。

このタイミングでの候補者変更にはいささか疑問が残りますが、あまりにも支持率が低い結果となった場合は、バイデン大統領の健康問題を理由に新たな候補者を選出する可能性もありそうです。

新たな候補者には、カマラ・ハリス副大統領の名前が挙がりそうなものですが、カマラ氏もバイデン大統領以上に支持率が低い状況にあるため、影の選挙対策委員長であるオバマ元大統領が思い切った策を打ち出してくることも考えられます。

トランプ氏の予備選立候補をめぐり揺れる米国内

バイデン政権はこの4年間、トランプ前大統領が二度とホワイトハウスに戻れないよう画策してきましたが、その画策のひとつが司法判断によりトランプ氏の立候補を禁止しようとする動きです。

民主党知事のいる州では、すでに2つの州が立候補の資格を認めないという判断を下しており、最終判断は連邦最高裁に委ねられることになりますが、今のところ司法の力でトランプ氏の出馬をブロックするのは難しいとの見方が強まっています。

ただこれが何かの勢いで覆された場合、米国内は凄まじい衝突が起こり南北戦争2.0にも発展しかねないと予測する向きもあります。

ここまで来ると、まともに選挙ができなくなるリスクさえも高まりそうです。

ニッキー・ヘイリー氏を共和党候補にするという民主党の画策

 

 

足元では民主党があらゆる事態を想定し対策を立てているようですが、仮に民主党候補が破れたとしてもトランプ前大統領の再選だけは何としても回避したい事情が窺えます。

現在、元米国連大使のニッキー・ヘイリー氏がトランプ氏を追随しており、ヘイリー氏を支援する政治活動委員会(スーパーPAC)であるSFAファンドは、2023年の後半6か月間で5,010万ドル(約74億円)を調達したとの報道もあります。

これは、トランプ前大統領の復帰を阻止したいウォール街や企業の幹部による支援が後押ししているものと見られていますが、民主党もこれを応援するような動きに出ているのではないかという憶測も飛び交っています。

ニッキー・ヘイリー氏が大統領に選出された暁には、イスラエルへの対応も期待されるため、民主党としてはたとえ落選したとしても、その席はトランプ氏ではなくヘイリー氏に譲りたいという目論みが伝わってくる状況です。

タッカー・カールソン氏はトランプ氏の暗殺を警戒

Photo AP

 

X(旧Twitter)にて様々な情報をポストし、多くの市民から絶大な支持を集めているFOXニュースの元キャスターであるタッカー・カールソン氏は、トランプ前大統領が今回の選挙をめぐり命を狙われているのではないかと危機感を露わにしています。

外野である私たちにとって、陰謀論を疑わずにはいられない内容ですが。長年FOXニュースに在籍していたカールソン氏が発言したポストだけに、完全なウソとも言い切れない状況となっています。

こうして見ると「もしトラ」という話は、選挙線の最後の最後に出てくる話であり、現状は全く追い付いていない状態にあります。

もしこの先大統領選をめぐって、国内が二分したりトランプ前大統領が暗殺されるようなことがあれば、状況は一変し、場合によっては内戦に発展する可能性さえもあります。

我々にできることは、何が事実でまた何が虚構なのかをしっかりと見極めることであり、今後事態は泥沼化するリスクも認識しておく必要がありそうです。