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日銀は22日から2日間にわたり開催された政策決定会合で、現状の緩和政策を維持することを決定しました。

その後15時半から行われた記者会見で植田総裁は、能登半島地震が政策変更に影響を与える可能性もあるとの考えを示し、マイナス金利解除の時期については明確な材料はなかったものの、市場では4月頃にマイナス金利を0.1%引き上げるのではないかとの見方が強まっています。

また植田総裁は、「マイナス金利を解除しても緩和的な金融環境は続く」とし、国債の買い入れとイールドカーブコントロール(YCC)は継続する意向を示しました。

すでに1,000兆円を超える国債を発行しており、金利の上昇は国債費の上昇に繋がるため、今後もコントロールしていく意思を示したものと思われます。

マイナス金利の解除後は、段階的な利上げが実施されると予測する市場参加者も多いと見られますが、日銀としてはとにかくマイナス金利を解除し、しばらくは様子を見るつもりであることが窺われます。

米国FRBは、早ければ3月にも利下げを行う可能性があるため、主要国が利下げに転じるタイミングで、日銀だけが周回遅れで利上げに踏み切ることは考えにくい状況です。

日銀が利上げを実施しなければ日経平均は4万円超の可能性も

日銀が今年の利上げを0.1%の一回限りにとどめ、その後はただ状況を見守っていくということになれば、日本株にとっては追い風となり、年末までにバブル期の最高値を超える4万円台に到達する可能性も高まります。

またドル円は、150円を超え160円台に突入する可能性があり、そうなれば財務省による介入を警戒する相場になりそうです。

こうした日銀の利上げ封じ込め政策は、結果的に急激なインフレとバブルを作り出す要因にもなります。

このコラムでも何度かご紹介していますが、米国では過去に前のめりな利下げを行った結果、株価を中心に大暴落が起こったケースがあるため、利上げ終了後はしばらくその水準を保つことが大切になります。

それが守られれば、11月に行われる大統領選挙まで、日銀もマイナス金利解除から先の金利政策には一切手をつけず見守る姿勢をとることが予想されます。

日本は足元で、それなりのインフレに直面しているため、金融市場への影響や国債費を理由に延々と緩和を続けていいものかという疑問は残りますが、植田総裁にはそれを強い意思を持って続けていこうという姿勢が窺えます。

この先のドル円は財務省の介入と日銀政策に注意

毎回、日銀の政策決定会合が開催されるたびに、政策変更への期待からドル円相場において円買いをする海外投機筋が多く見られます。

しかし今回は、能登半島地震の影響により政策変更はないであろうとの予測が広く認識されていたため、現状維持が発表された後もドル円は148.500円までの上昇にとどまっています。

その後は下落に転じ、瞬間的に147円割れの大幅下落を見せましたが、これはポジション調整が要因と見られ、この先ドル円は上昇軌道に戻り、当面の間押し目買いがワークすることになりそうです。

一方で、一昨年の為替介入水準が151.900円レベルであることを考えると、また財務省と市場との駆け引きが続く展開が予想されます。

ただ財務省は、過度な変動がない限り迂闊に介入することはできないため、このまま160円までゆっくりとした価格上昇が続く可能性もあります。

ここでご紹介しているシナリオは、あくまでも米国FRBが極端な政策変更をしないことが大前提となっており、とにかく利下げを急がないことが世界の主要市場に安定した時間をもたらすことは間違いありません。

また海外勢にとって、日銀の説明は非常に分かりにくいため、短期投機筋が何かを仕掛けてくることも視野に入れ慎重にトレードを行っていく必要がありそうです。