年初から上昇を続けてきた米株市場は、AI関連の銘柄が好調で指数取引も過去最高値を記録しており、足元では何かを買えば必ず儲かるという先行き判断が広がっている状況です。
日本で新型NISAの運用が始まったことにより、相当量の資金がドル転し参入するようになったことが大きな要因と言われていますが、ウォール街のクォンツ達の間では、この上昇相場は大統領選挙が終わるまで続き、例え下落してもバイデン政権とFRBがなんとかしてくれるだろうという楽観的な憶測が広がっています。
一度上がり始めればもっと上を口にするのは、どこの国の証券業界でも一緒ではありますが、今回の相場上昇はAIを中心としたIT業界の実質的な大幅成長となるため、単なる不動産バブルとは全く異なる状況であることが指摘されています。
ただしどんなに好景気であっても、株が永続的に上昇するということはあり得ず、どこかで必ず大きな調整や転換点を迎えることは市場の常であるため、ここからは市場から抜けるタイミングをしっかりと見極めることが、獲得した利益を守るための大きなポイントとなりそうです。
バブル相場の前半は誰でも儲かるが後半は相場を降りるタイミングの見極めが肝心
バブル相場のはしりに投資した参加者は、大きな利益を獲得することができるというのは、相場における共通認識です。
しかし多くの投資初心者はひとたび成功体験を得ると、下げ相場に転じた場合でも絶好の買い場であるという判断ミスを犯しやすく、投資原資以上の損失を抱え市場から撤退を余儀なくされるケースが後を絶ちません。
相場が上昇し始めると、それまで関心のなかった個人投資家たちも流れに乗り遅れまいと無闇に相場に参入し、バブル相場の最も高い価格水準で大量に投資を行う「高値掴み」になるパターンもよくあります。
1920年代にある有名な投資家が、靴磨きの少年から上がる株を知っているという話を聞いたことをきっかけに、すべてを売り大暴落を免れ大儲けしたという話がありますが、この話は普段株に興味の無い人が興味を持ち出したら相場の天井であるという教訓であるため、米株バブルの現状に対し警鐘を鳴らす向きもあります。
年初はFRBが利下げ時期の後ズレを示唆したことにより、米株も一定の下落を見せたものの、今ではすっかり取り返しており、ここからは相場を降りるタイミングについて慎重に判断していかなければならない状況となっています。
2月21日に行われるエヌビディアの決算発表が今後のカギに
米半導体大手であるエヌビディアは、今年に入って株価が高騰しており、時価総額ではアマゾンを抜いて4位に浮上する勢いを見せています。
エヌビディアはAI主導となる今回のバブル相場で、圧倒的な存在感を放つ存在となっており、同社の株価はここ2か月あまりでテスラの時価総額に匹敵するまでに拡大し、上昇率は40%あまりにも達しています。
これは実際の成長が伴うものであるため全く問題ないとの見方を多くのアナリストが示していますが、もしも2月21日に発表される最新の決算に陰りが出始めれば、上昇相場の持続にも変化が見られる可能性があります。
米株相場の動向は、債券や為替にも大きな影響を与えることになるため、決算の内容次第ではドル円が大きく値を下げたり、S&P500との相関性から大きく値をあげたビットコインなどの仮想通貨にも影響が及ぶ可能性があります。
今回の米株バブル相場は、指数を含め全体的に大きく上昇していますが、中でもマイクロソフトやNVIDIA、グーグルといったAI関連における成長が著しく、それらが市場を牽引していることは間違いありません。
したがって、これらの銘柄に陰りが出たりピークアウト感が強まった場合には注意が必要です。
ただし仮にそうなった場合でも、その後FRBステルスQE(流動性供給)などで対処することになれば、相場が音を立てて崩れるようなことはないとの見方もあります。
ここから3月に向けては、状況判断の難しい相場展開となることが予想されるため、雰囲気だけに呑まれず冷静に判断する力が求められそうです。