6月2日、メキシコで行われた大統領選挙で、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長(61)が歴史的大差で勝利しました。
ロペス・オブラドール現大統領の後継者として、10月1日に就任する予定で、史上初の女性大統領の誕生となります。
エネルギー工学の博士であり、気候変動の専門家としても知られるシェインバウム氏ですが、今回の大統領選における勝利は、メキシコ市長としての知名度が大きく影響したとされています。
ロペス・オブラドール現大統領は、これまで積極的に貧困対策や通貨ペソの上昇、それに低失業率の実現に取り組んできました。
シェインバウム氏は現大統領の政策路線を継承する方針ですが、財政赤字が膨らみ成長が低迷する中での実現は難しいのではないかというアナリストの意見もあります。
ただ議会選では、上下両院で与党とその連合会派が過半数を獲得する見込みで、次期大統領の後ろ盾となることが期待されています。
新興国通貨メキシコペソとは
ご存知の通り北アメリカの南部に位置するメキシコは、中南米を代表する新興国のひとつです。
経済規模はオーストラリアやスペインにも負けず劣らず、人口、名目GDPでは、ラテンアメリカでブラジルに次ぐ2位に位置しており、若年層の人口比率が高いことから、長期的な経済成長も見込まれています。
またメキシコは、石油をはじめ金や銀、銅、亜鉛などの鉱物資源を豊富に有する国としても有名で、これらの資源が経済を牽引しています。
貿易相手国のトップは米国となっており、北米自由貿易協定(NAFTA)の発効以降、輸出額の約8割、輸出額の約4割を米国が占めています。
そのため、メキシコ経済は米国経済好不況が大きく影響することを認識しておく必要があります。
高い流動性を持つメキシコペソは、トルコリラよりも安定して推移し、なおかつ高いスワップポイントが得られる通貨として人気があります。
過去5年にわたり右肩上がりのメキシコペソ
メキシコの中央銀行であるメキシコ銀行(BOM)は、2022年6月から2023年3月までの金融会合で、連続15回にわたり11.25%までの利上げを実施しています。
2023年5月会合以降は、インフレのピークアウトを背景に金利を据え置いており、直近の消費者物価指数は鈍化傾向も、中銀のインフレ目標レンジには届いていない状況です。
メキシコ銀行は、中長期ではインフレの上振れリスクもあるとして、今後の金利引き下げについては慎重な姿勢を示しており、当面は現在の高い金利水準を維持することが予想されます。
ドル円は、年初から円安シフトで荒れた相場が続いていますが、スワップが狙えるうえに価格が上昇しているメキシコペソは魅力的な存在であるため、今後の動向が期待されます。