米国株式市場はバイデン政権が提出した200兆円超の追加経済対策法案が可決したことからNYダウを中心にして相場の上昇が継続しており史上最高値をまたしても更新中の状況です。

3月第二週のNYダウの動き Data Tradingview

ただ、それと同時にFOMCに向けての催促相場といった趣もかなり強くなりつつあり、米債の金利は須らく上昇、もっとも市場が注目している10年債金利は11日の入札結果時には反落したものの、また盛り返す形となっておりすでに1.6%以下に下落しないまま週の取引きを終える形になっています。

株は上昇するし、債券金利も並行して上場するという先週までとは変わった相場状況になってきており、まさに今週からすでに配布が始まっている1400ドルの給付金バブル相場と債券金利高・ドル高ビッグショート勢の一騎打ちの様相を呈し始めていることがわかります。

給付金受給者の37%が株式投資の資金として利用

ドイツ銀行がかなり興味深い調査結果を発表していますが、それによりますとバイデン政権が法案を成立させた追加経済財策の目玉となっている1人当たり1400ドルの追加給付金については、37%の既存個人投資家が給付金を株式投資に利用しようと思っていることが判明しています。

もちろん世帯全体でカウントした場合にはその比率はもっと下がることになるのでしょうが、この比率で考えますと実に1700憶ドルもの追加原資が米株市場に投入されることが予想されるわけです。

世代的にみますと24歳以下の若者が20%程度、25歳から34歳までのいわゆるミレニアル世代が40%近くに達しており、若い層を中心に株式投資への熱が高まっていることがよくわかります。

Data ドイツ銀行

昨年5月の無料取引ソフトのロビンフッドを通じて個人投資家が株式市場に投資を始めたことは米株市場に相当大きな影響を与え、株価の上昇に寄与したことは記憶に新しいところですが、今回はさらにその支給金額規模が大きくなるわけですからさらに市場に与えるインパクトは大きそうで、前出のドイツ銀行によればほぼ1700億ドルが米国市場に雪崩れ込む可能性があるとされています。

既にNYダウは完全にこの影響を受けて上昇をはじめている気配濃厚で、個人投資家がまったく米債金利の上昇を気にしていないことがそのまま相場に現れ始めているようです。

債券相場におけるビッグショート勢はFOMCを前にさらに催促相場を加速

一方でFRBに対して金利を上げさせないように政策を発動することを催促する市場参加者は債券を猛烈に売り向かっており、一旦は落ち着いたように見えた債券金利は週末に向けてさらに上昇することとなりました。

3月19日早朝にはFOMCの政策発表もありますのでパウエル議長がどのように対応するのかにも注目が集りますが、債券市場ではこれに向けて米債の売り向かいがピークに達し始めており、FRBがこのまま市場への対応を無視することになった場合には米10年債はさらに2%に近づくような上昇を示現する可能性も高まりつつあります。

こうした2つのダイナミックな相反するような動きの中で株価と債券価格がどのように推移していくことになるのかは非常に大きな市場の関心ごととなってきており、ここから月末に向けての相場展開は目をはなすことのできない状況になりそうです。

ただ、このきわめて特殊な相場状況がはたしていつまで継続するのかは非常に大きな問題であり、流石にここから先には給付金の支給は期待できないだけに最後のバブル相場となることも視野に入れておく必要がありそうです。

新型コロナ感染とそれに伴う国の追加経済対策は異常なほどの金額規模になっており、米国ではバイデン政権の200兆超の予算投入規模で昨年のトランプ政権の投入額300兆円に加算してすでに500兆円を超える額を市場に投入しようとしています。

これはGDPベースでみますと第二次世界大戦時の投入資金規模をはるかに超えるものですからその大きさは計り知れないものになりつつあります。

これでインフレが来ないことのほうが不思議ですが、当面はこれでいいとしてもこの先相場がどう変化するのかは非常に恐ろしいものがあります。