国内では4都道府県に3度目の新型コロナ非常事態宣言が出て、今回の5月の連休も人の動きを猛烈に抑制する動きが現れています。
日経平均株価は4月に入ってからはもうひとつ上値を伸ばすような動きは見られません。
ただ昨年のアノマリーからいいますと非常事態宣言解消後に大きく日経225指数が上昇しており、今年も連休明けに相場が大きく上昇するのではないかといった裏付けがない期待が市場に残っていることも確かで、下落となれば少なからずドル円の動きにも影響を与えるだけにこの先一体どうなるのかが非常に注目されるところとなってきています。
日銀のETF買い入れ姿勢を試すかのように下落した4月相場
3月半ばまで驚くほどの上昇を見せた日経平均は強い上値追いトレンドを形成することになりましたが、3月の政策決定会合で日銀が4月以降日経平均連動型のETFの購入を終了し、TOPIX連動型ETF購入に切り替えることが決定してからは相場は伸び悩んでいます。
さらに4月19日の週では1%下落しても日銀がETF買いに動かなかったことから翌日にはさらに2%下落し、ここでようやく買いが入るというまるで日銀のETF買いを試すような下落相場も見られることとなりました。
一応2%程度の下落ならば日銀が買い支えに入ることは市場も理解したことになりますが、どうみても日経平均は日銀が買い支えるから上昇するという構造になっていることは間違いなさそうで、4月27日には日銀政策決定会合に結果発表も控えていますが、さすがに3月に一定の変更を行っただけにここで追加の政策がでることは考えにくい状況です。
ここからは5月の連休を挟むことになり、同様の下値試しが起きるかどうかも気になるところとなりそうです。
日銀の黒田総裁はすでに歴代2位の在任期間となりますが自らが退任するまでは今の政策を貫きそうな状況ですが、ETF購入についてはTOPIX型に切り替えても早晩購入ができなくなる可能性は高く、果たしてこのような状況で日経平均なりTOPIXが順調に上昇していけるのかには疑問が残るところです。
昨年5月以降の非常事態宣言明けの相場上昇は多分に米国の影響か
またしても緊急事態宣言が本邦で発令されているのはご案内の通りですが、昨年の5月の宣言解除明けからは日経平均は驚くほどの上昇を継続することとなり、さらに11月からは一貫して上昇するトレンドに乗ることとなりました。
このことから市場では緊急事態宣言は株価の下落には関係ないといった楽観的な見方も広がりを見せています。
ただ、昨年よりも感染者、死亡者とも多くなっているのが実情で、しかも2020年5月以降の相場は米国の株式市場の大きな上昇に連動して上げていった経緯があるだけに、現状のように米国ですでにコロナ感染が終息方向に向かいいち早く景気が回復しようとしている時期に緩和期待だけで株式相場が上がると期待するのはいささか無理がありそうです。
ややもすれば本邦起因だけで相場が下がることは十分に想定されるところで、昨年同様に金融緩和相場が今年も日経平均の上場を支えることになるのかどうかは依然として不明な状況です。
ご参考までに日経平均の過去20年のシーズナルチャートを確認しておきますと、5月から6月一杯までは上下動を伴いながら下落することが多く、さらに7月に一旦回復してもまた8月に向けて底打ちに向かうのが基本的な流れになっています。
今年の日本株相場がこのシーズナルサイクルどおりに動くかどうかは不明ですが、その乖離をしっかりとチェックしていくことは極めて重要になりそうです。
そういう意味では昨年の日経平均の5月からの継続的上昇は異例中の異例で、むしろそれに今年の株価も同様の展開をしていくと考えるのはかなり難しそうな状況です。
果たしてどの見立てが正解なのかはここからの相場を見ていれば判ることですが、あまり油断しない取引き姿勢が求められるところとなってきています。