本邦はいよいよ年末ということで年の終わりの区切り感を感じるトレーダーが多くなる季節ですが、米国は年末最終週からすでに新年度、欧州勢もクリスマスの振替休日が終わりすでに新年を迎えていて、この年末年始も本邦だけが月曜日は三が日の最後の休日ということになります。

この本邦だけ正月休みというタイミングは過去にも投機筋の仕掛け売買がでたり、2019年には3日の朝にフラッシュクラッシュが示現するなどあまり良いことが起こりませんが、来週の3日には具体的に注意しなくてはならないイベントがあります。

それがトルコのCPI発表です。

3日の午後4時に発表のトルコCPI

利下げで大幅に下落したトルコリラを救済すべく、エルドアン大統領がトルコリラ建て預金の価値をトルコ政府が保証するという新政策を12月20日に発表してからは確かに大きく買い戻しが進み、激しい下落は一旦やんだように見えます。

しかしこの預金利息保証の原資が一体どこにあるのかは不明で、いつまで続けられるのかも非常に不明確な中にあって、現状の人工的な価格上昇相場をいつまで継続できるのか市場でも非常に大きな関心事になってきています。

なによりリスクコンプライアンスの視点で考えると欧米の金融機関がトルコ関連で大きな投資を行うことは考えにくく、トルコリラに関しては引き続き買っても売っても大きなリスクに直面する危険性が高まっています。

そんな中で週明けの1月3日午後4時、ロンドン勢が週の取引をスタートしようという時間帯にトルコのCPIが発表されます。

トルコのインフレ率は前々回で19.89%、前回が21.31%となっており、そんな中で利下げを行ったので市場参加者が一斉にトルコリラを売って離れていったのは明白になりましたが、今回のCPIではインフレ率が25%を超えるのではないかといった市場予測もあり、激しいインフレ率が示現してさらに消費者物価指数CPIが史上最高の数値となった場合には利下げが進まなくてもまたトルコリラが売り浴びせを受ける危険性があり、相当な注意が必要になりそうです。

CPIの速報値の発表は米国のものでも株や為替に相当な影響を与えているので、新興国でしかもインフレなのに利下げを行っているトルコでは最高に大きなリスクイベントになるのは間違いなく、事前に十分な対策をとる必要があります。

消費者物価指数CPIは先月でも604.84と最高数値を更新中なので、今回これをさらに超えた数字が発表となると相場に与える影響は相当なものになる可能性を否定できません。

Data Trading Economics

この時期はそうでなくても場が薄いので、投機筋がかさに着てCPI発表から売りを加速した場合にはアルゴリズムなども追ってかなり大きな下げになる危険性があり、十分な注意が必要となります。

2019年の1月3日はアップルショックとも呼ばれていますが、為替ではまずトルコリラ円の下落がフラッシュクラッシュのきっかけとされているだけに、トルコリラの下落はドル円の下落にも影響する可能性に注意が必要です。

一般的にこの手の相場時期のリスク管理としてはスプレッドも広がりやすいため、そうとうタイトなロスカットの設定やトレーリングストップを設定しておくといったやり方がありますが、それでもいきなり相場が下落してスプレッドが広がると強制ロスカットを遥か下回ったところで損切になることも多く、可能であればこの3日については当該イベントを通過するまでは特にロングのポジションは持たないようにするといったより積極的な対策が必要になりそうです。

いずれにしても新年早々からトルコネタで大損を食らったり投資原資をたくさん減らしてしまうというのは決していい気分ではありません。

今回のこの発表に絡むリスクは、三が日で場が薄い時に起きるリスクというよりはもっと具体的に発生するリスクということになるので、出来る限りそれを食らわない方法を実行することが重要です。